日本文学[近代]
萩原朔太郎というメディア  ひき裂かれる近代/詩人
萩原朔太郎というメディア

安智史[著]
愛知大学准教授
A5判/408頁
本体5400円(+税)
ISBN4-916087-81-2
C1095
2008.01

日本文学[近代]


漂泊の痕跡 横断の軌跡
近代を複合し、その葛藤と重層の力を書記した詩人、萩原朔太郎──
ポピュラーソング・映画・写真等、声と映像のメディアを横断しつつ生成する朔太郎テクストを、彼が希求し続けたまぼろしの近代/日本を背景に読み解く。

【目次】
序章 二つの世界戦争のあいだに

[第一部 詩語としての日本語と朔太郎]
「リズム」から「調べ」へ──詩論における日本語との葛藤と夢想
ひびきの美学──萩原朔太郎の文語詩観

[第二部 声のメディアと朔太郎]
ソングの誘惑──昭和流行歌の時代と晩年期の詩観
複製技術時代の聴覚──萩原朔太郎と小林秀雄をめぐって

[第三部 大衆社会状況のなかの朔太郎]
変貌する「群集」/「私」──「群集の中を求めて歩く」をめぐって
猫町温泉──近代(裏)リゾート小説としての「猫町」

[第四部 視覚の近代と朔太郎]
網膜のスクリーンに投射されるもの──萩原朔太郎初期詩篇と映画
くり返す亡霊たち──ベルクソン・死霊の女・チャップリン

補章 無名化=普遍化される郷土──萩原朔太郎撮影写真をめぐって
全集未収録萩原朔太郎資料紹介

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【編者紹介】
安智史(やす さとし)
1964 年茨城県生まれ。 立教大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
現在愛知大学短期大学部准教授。
主な共著に『『日本詩人』と大正詩──〈口語共同体〉の誕生』(森話社)、『和歌をひらく 第五巻 帝国の和歌』(岩波書店)。
論文に「論争する民衆詩派──白鳥省吾VS. 北原白秋 その周辺」(『日本近代文学』第67 集)、「江戸川乱歩における感覚と身体性の世紀──アヴァンギャルドな身体」(『国文学解釈と鑑賞 別冊 江戸川乱歩と大衆の二十世紀』)などがある。