日本映画史 | |
戦後映画の生き残り戦略 変革期の一九七〇年代 |
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谷川建司[編] |
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はじめに──日本映画界の構造変革期としての一九七〇年代(谷川建司) [T 斜陽化のなかの経営] 日本映画産業斜陽期における大手五社の多角経営──経営史料とオーラル史料をもとに(木村智哉) 一九七〇年代の大映破産争議/再建闘争(鷲谷 花) [U 映像産業への異業種参入] 映画がコンテンツになるとき──一九八〇年代の映像流通の再編成(近藤和都) 国内洋画ビジネスとしての韓国映画配給──シネカノンとアジア映画社の場合(小川翔太) [V 変革期の性表現] 神代辰巳監督作品から読み取る性風俗──ピンク映画研究の現状と課題の一事例として(小川順子) 食から薔薇族映画を再考する──『アイスクリームのかほり』を中心に(久保 豊) [W 方法論から見る映画史] 知識人に転職する──戦後史のなかの佐藤忠男(花田史彦) 一九七〇年代後半以降の邦画宣伝スタイルの「洋画化」傾向(谷川建司) 一九七〇年代における映像産業の分解と製造業としての性格──商業アニメ制作における「バンク」技法に注目して(一藤浩隆) [Column-1] 芝居小屋との境界線上にとどまり続けた映画館──奈良県宇陀市で保存されている喜楽館(喜楽座)の魅力と映画研究の課題(板倉史明) [Column-2] 「お仕事映画」としての『八甲田山』(伊藤弘了) [Column-3] 成人向け映画のタイトルに対する規制と工夫(谷川建司) [Column-4] 映画館でテレビを見よう──電波を使った映像投写装置「アイドホール」への関心(北浦寛之) おわりに──映画産業史研究の過去・現在と今後への展望(木村智哉) |
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[編者] 谷川建司(たにかわ たけし) 映画ジャーナリスト。映画史 『戦後「忠臣蔵」映画の全貌』(集英社クリエイティブ、2013年)、『高麗屋三兄弟と映画』(雄山閣、2018年)、『近衛十四郎十番勝負』(雄山閣、2021年) [執筆者](掲載順) 木村智哉(きむら ともや) 開志専門職大学アニメ・マンガ学部准教授。アニメーション史、映像産業史 『東映動画史論──経営と創造の底流』(日本評論社、2020年)、「戦時下映画業界の統制とアニメーション──文化映画会社統合と軍委嘱映画」(佐野明子・堀ひかり編『戦争と日本アニメ──『桃太郎海の神兵』とは何だったのか』青弓社、2022年)、「サンリオの映画事業とその時代」(小平麻衣子・井原あや・尾崎名津子・徳永夏子編『サンリオ出版大全──教養・メルヘン・SF文庫』慶應義塾大学出版会、2024年) 鷲谷 花(わしたに はな) 大阪国際児童文学振興財団特別専門員。映画学、日本映像文化史 『姫とホモソーシャル──半信半疑のフェミニズム映画批評』(青土社、2022年)、淡島千景著、坂尻昌平・志村三代子・御園生涼子・鷲谷花共編著『淡島千景──女優というプリズム』(青弓社、2009年)、ジル・ルポール著、鷲谷花訳『ワンダーウーマンの秘密の歴史』(青土社、2019年) 板倉史明(いたくら ふみあき) 神戸大学大学院国際文化学研究科教授。映画学、日本映画 『映画と移民──在米日系移民の映画受容とアイデンティティ』(新曜社、2016年)、『神戸と映画──映画館と観客の記憶』(編著、神戸新聞総合出版センター、2019年)、「ヒューゴー・ミュンスターバーグ──その遺産と認知主義的映画研究」(『映画論の冒険者たち』東京大学出版会、2021年) 近藤和都(こんどう かずと) 立命館大学産業社会学部准教授。メディア論 『映画館と観客のメディア論──戦前期日本の「映画を読む/書く」という経験』(青弓社、2020年)、『技術と文化のメディア論』(共編著、ナカニシヤ出版、2021年)、『ビデオのメディア論』(共著、青弓社、2022年) 小川翔太(おがわ しょうた) 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。映像学 The Routledge Handbook of Japanese Cinema. Routledge, 2021.(共編著)、「証言映画のアーカイバル・ターン──朴壽南(パク・スナム)の映像断片の可読性をめぐって」(『映像学』第107号、2022年)、“‘Zainichi Cinema’ in a Global Frame: Apple TV+’s Pachinko (2022) and the Cosmopolitan Middlebrow” Transnational Asia: An Online Interdisciplinary Journal 5 (1): 2023. 伊藤弘了(いとう ひろのり) 熊本大学大学院人文社会科学研究部准教授。映画研究=批評 『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所、2021年)、「小津安二郎の興行戦略──『彼岸花』にみる作家性と企業性の折衝」(谷川建司編『映画産業史の転換点──経営・継承・メディア戦略』森話社、2020年)、「世界の循環と生の反復──映画『ドライブ・マイ・カー』における水の主題系と音を伴う回転のモチーフ」(佐藤元状・冨塚亮平編著『『ドライブ・マイ・カー』論』慶應義塾大学出版会、2023年) 小川順子(おがわ なおこ) 中部大学人文学部教授。日本文化研究、日本映画、大衆文化 『「殺陣」という文化──チャンバラ時代劇映画を探る』(世界思想社、2007年)、「命短し芸は長し──市川雷蔵:銀幕に生き続ける身体」(塚本幸光編『映画の身体論』ミネルヴァ書房、2011年)、「京都と時代劇再考──東映剣会殺陣師を中心に」(谷川建司編『映画産業史の転換点──経営・継承・メディア戦略』森話社、2020年) 久保 豊(くぼ ゆたか) 金沢大学人間社会研究域准教授。映画研究、クィア批評 『夕焼雲の彼方に──木下惠介とクィアな感性』(ナカニシヤ出版、2022年)、「日活ロマンポルノのハッテン史──「普通ではない」とされる男たちの勃起」(『日活ロマンポルノ 性の美学と政治学』水声社、2023年)、“Feeling the Friction: Reworking Japanese Film Studies/ Criticism from a Queer Lens” Beyond Diversity: Queer Politics, Activism, and Representation in Contemporary Japan, Dusseldorf University Press, 2024) 花田史彦(はなだ ふみひこ) 東北芸術工科大学基盤教育研究センター専任講師。メディア史 『映画産業史の転換点──経営・継承・メディア戦略』(共著、森話社、2020年)、『昭和史講義【戦後文化篇】(下)』(共著、筑摩書房、2022年)、『接続する柳田國男』(共著、水声社、2023年) 一藤浩隆(いちふじ ひろたか) 比治山大学非常勤講師。社会学、アニメーション産業史 「日本のアニメーション産業における創造の『労働化』──P・L・バーガーの近代産業論の観点から」(『ソシオロジ』第65巻第2号、2020年10月)、「アニメーション産業における1960年代後半という時代──東映動画の経営と「放映権」「商品化権」の変化を中心にして」(『マス・コミュニケーション研究』第100号、2022年1月)、 「シネメトリクスのためのショットサイズ指標の提案──手塚治虫の絵コンテ分析を中心として」(『アニメーション研究』第23巻1号、2023年1月) 北浦寛之(きたうら ひろゆき) 立命館大学映像学部准教授。映画学、メディア研究 『テレビ成長期の日本映画──メディア間交渉のなかのドラマ』(名古屋大学出版会、2018年)、『東京タワーとテレビ草創期の物語──映画黄金期に現れた伝説的ドラマ』(筑摩書房、2023年)、『〈ポスト3.11〉メディア言説再考』(共著、法政大学出版局、2019年) |