日本映画史 | |
新派映画の系譜学 クロスメディアとしての〈新派〉 |
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上田学・小川佐和子[編] |
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序章 なぜ映画から「新派」を考えるのか──その多様性をめぐって 上田学 [T 新派と映画の歴史的交錯] 第1章 新派から映画へ──その前提として 児玉竜一 第2章 日活向島再考──その歴史的意義について 上田学 第3章 菊池幽芳原作『毒草』にみる日本映画の革新と成熟──井上正夫の連鎖劇と向島撮影所の新派映画 谷口紀枝 [U 新派的な情動とメロドラマ] 第4章 新派的なるもの──ある考察 斉藤綾子 第5章 新派的ヒロインの因果──新派映画と翻案にみる義理と情の葛藤構造 小川佐和子 第6章 「メロドラマ」映画前史──日本におけるメロドラマ概念の伝来、受容、固有化 河野真理江 第7章 『不如帰』とその時代──その歴史的意義について スザンネ・シェアマン [V クロスメディアと新派的な感性] 第8章 新派と新国劇の交差するところ──中里介山『大菩薩峠』の二つの顔 紅野謙介 第9章 『不如帰』の舞台化における音楽演出 土田牧子 第10章 ヒロインの死を悼むのは誰か──樋口一葉作『にごりえ』とその脚色 中村ともえ 第11章 「椿姫」を演じた男たち──中国演劇における「新派的」想像力の行方 田村容子 [W 新派の水脈・過去と現在] 第12章 中野實の「喜劇」と「青春」──もう一つの新派 神山彰 第13章 新派のアクチュアリティと探偵劇の系譜──明治期『都新聞』の「探偵実話」から江戸川乱歩と横溝正史の劇化に及ぶ 後藤隆基 終章 遍在する〈新派〉 小川佐和子 資料 新派映画一覧 明治三二(一八九九)年─大正一二(一九二三)年 谷口紀枝(作成協力=上田学・小川佐和子) |
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[編者] 上田学(うえだ まなぶ) 神戸学院大学人文学部准教授 専攻=映画史、日本思想史 『日本映画草創期の興行と観客──東京と京都を中心に』(早稲田大学出版部、2012年)、「明治期のヴァーチャル・リアリティ──非分節ショットへの回帰」(光岡寿郎・大久保遼編『スクリーン・スタディーズ──デジタル時代の映像/メディア経験』東京大学出版会、2019年)、“Screening Spaces: A History of Japanese Film Exhibition” (Hideaki Fujiki and Alastair Phillips eds., The Japanese Cinema Book, BFI, 2020) 小川佐和子(おがわ さわこ) 北海道大学大学院文学研究院准教授 専攻=映画史 『映画の胎動──一九一〇年代の比較映画史』(人文書院、2016年)、「初期日本映画における外国映画のリメイク──『憲兵モエビウス』から『大尉の娘』へ」(北村匡平・志村三代子編『リメイク映画の創造力』水声社、2017年)、“The First World War and Japanese Cinema: From Actuality to Propaganda” (Jan Schmidt and Katja Schmidtpott (eds.), The East Asian Dimension of the First World War: Global Entanglements and Japan, China, and Korea, 1914?1919, Campus Verlag, 2020) [執筆者](掲載順) 児玉竜一(こだま りゅういち) 早稲田大学文学部教授、早稲田大学演劇博物館副館長 専攻=歌舞伎、日本演劇 『芝居絵に見る江戸・明治の歌舞伎』(共編著、2003年、小学館)、『映画のなかの古典芸能』(共編、2010年、森話社)、『最新版歌舞伎大事典』(共編著、2012年、柏書房) 谷口紀枝(たにぐち のりえ) 早稲田大学演劇博物館招聘研究員、明治学院大学ほか非常勤講師 専攻=日本映画史 Provenance and Early Cinema(分担執筆、Indiana University Press, 2021)、「初期の日本映画におけるナラティヴとイメージの発達過程について──日活向島製作『うき世』『二人静』における検証」(『早稲田大学文学研究科紀要』第58輯第3分冊、2013年3月)、「新派映画の音──初期時代の映画常設館における女性の声について」(『映画学』 第34号、2021年3月) 斉藤綾子(さいとう あやこ) 明治学院大学文学部芸術学科教授 専攻=映画理論、ジェンダー批評 『映画女優 若尾文子』(四方田犬彦と共編著、みすず書房、2003年)、『映画と身体/性』(編、森話社、2006年)、『人種神話を解体する1 可視性と不可視性のはざまで 』(竹沢泰子と共編、東京大学出版会、2016年) 河野真理江(こうの まりえ) 元立教大学兼任講師、青山学院大学・静岡文化芸術大学非常勤講師 専攻=映画研究 『日本の〈メロドラマ〉映画──撮影所時代のジャンルと作品』(森話社、2021年)、「渋谷実の異常な女性映画──または彼は如何にして慣例に従うのを止めて『母と子』を撮ったか」(志村三代子・角尾宣信編『渋谷実 巨匠にして異端』水声社、2020年)、「映像メディアにおける同性愛表象の現在」(『現代思想』2021年9月号、特集=〈恋愛〉の現在) スザンネ・シェアマン(Susanne Schermann) 明治大学法学部教授 専攻=日本映画史 『成瀬巳喜男──日常のきらめき』(キネマ旬報社、2005年)、「山田洋次の最初の長編映画『下町の太陽』(1963年)」(『文芸研究』第141号、明治大学文学部文芸研究会、2020年)、「巨匠の「失敗作」──小津安二郎『東京暮色』(1957年)」(『明治大学教養論集』第555号、2021年) 紅野謙介(こうの けんすけ) 日本大学文理学部特任教授 専攻=日本近代文学 『国語教育 混迷する改革』(ちくま新書、2020年)、『職業としての大学人』(文学通信、2022年)、『ことばの教育──日本語で読み、書き、考える』(青土社、2023年) 土田牧子(つちだ まきこ) 共立女子大学文芸学部准教授 専攻=歌舞伎音楽、近代の歌舞伎や周辺演劇とその音楽 『黒御簾音楽にみる歌舞伎の近代──囃子付帳を読み解く』(雄山閣、2014年)、「浅草興行街における小芝居の音」(細川周平編著『音と耳から考える──歴史・身体・テクノロジー』アルテスパブリッシング、2021年)、「女役者、中村歌扇── 浅草娘芝居時代を中心に」(『共立女子大学文芸学部紀要』第68号、2022年) 中村ともえ(なかむら ともえ) 静岡大学教育学部准教授 専攻=日本近現代文学 『谷崎潤一郎論──近代小説の条件』(青簡舎、2019年)、「映画の中の明石の君──武智鉄二「源氏物語」論」(久保朝孝編『源氏物語を開く──専門を異にする国文学研究者による論考54編』武蔵野書院、2021年)、「小説と芸能の昭和──谷崎潤一郎から川口松太郎へ」(『国語と国文学』第100巻第3号、2023年3月) 田村容子(たむら ようこ) 北海道大学大学院文学研究院准教授 専攻=中国文学・演劇 『男旦(おんながた)とモダンガール──二〇世紀中国における京劇の現代化』(中国文庫、2019年)、『濱文庫戯単図録──中国芝居番付コレクション』(分担執筆、花書院、2021年)、『中国文学をつまみ食い』(共編著、ミネルヴァ書房、2022年) 神山彰(かみやま あきら) 明治大学名誉教授 専攻=演劇学、近代日本演劇 『近代演劇の水脈──歌舞伎と新劇の間』(森話社、2009年)、『近代演劇の脈拍──その受容と心性』(同、2021年)、『商業演劇の光芒』(近代日本演劇の記憶と文化第2巻、編、同、2014年) 後藤隆基(ごとう りゅうき) 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター助教 専攻=近現代日本演劇・文学・文化 『高安月郊研究──明治期京阪演劇の革新者』(晃洋書房、2018年)、『ロスト・イン・パンデミック──失われた演劇と新たな表現の地平』(編著、春陽堂書店、2021年)、『新派 SHIMPA──アヴァンギャルド演劇の水脈』(共編、早稲田大学演劇博物館、2021年) |