近代日本演劇 | |
近代演劇の脈拍 その受容と心性 | |
神山彰[著] |
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舞台の豊かさは、過去からの多層的な記憶とともにあり、その周辺の気配や時代の色彩、陰翳によって鮮やかに彩られている。 明治期から平成期までの約150年の生動感に溢れた「近代演劇」の芸談や批評、思い出から浮かび上がる各時代の欲望と多面的様相をさぐる。 [目次] 【T 森鴎外と三木竹二に見る「演劇」】 第一章 演劇から見る森鴎外───「和魂洋才」の一面 第二章 三木竹二の系族───森家の人々の遊戯感覚 第三章 森鴎外のなかの依田学海と末松謙澄───まだ見ぬ「演劇」を巡って 【U 歌舞伎の世紀末】 第四章 坪内逍遙の世紀末───『牧の方』と「みだれ髪」の時代 第五章 『め組の喧嘩』と『お祭佐七』の間───黙阿弥以後の「江戸歌舞伎」 第六章 鏡花劇の台詞の魅力───『天守物語』を巡って 第七章 二代目市川左団次の「セルフ・ヘルプ」───西洋演劇との相互受容 第八章 「芝居見たまま」の魅力───舞台の記憶装置 【V 大正・昭和戦前期の面影】 第九章 雑誌『新演芸』に見る大正演劇 第十章 「声色」の時代───観客の記憶と伝承 第十一章 「歌舞伎十八番」の近代───十代目団十郎と山崎紫紅 第十二章 天勝の「流し目」と新劇の「見下し目線」 第十三章 『沓掛時次郎』と股旅物───姓・故郷・家族 第十四章 戦中演劇への一視点 第十五章 「舞台美術」の成立と変容───近代化に即して 第十六章 散切物の「ミナト・ヨコハマ」───開化と望郷と 【W 戦後演劇の肉声】 第十七章 折口信夫の歌舞伎───肌自慢・悪声・表現力 第十八章 近代演劇の「実験」の系譜 第十九章 「三島歌舞伎」の記憶と「戦後」───「舞踊」という盲点 第二十章 新派の光芒───ノスタルジアの行方 第二十一章 観客論としての「ファン雑誌」───戦後東京圏の肉声 第二十二章 歌舞伎の戦後七十年 第二十三章 国立劇場とその時代 第二十四章 戦中・戦後派への追悼 |
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[著者紹介] 神山 彰(かみやま あきら) 昭和25年(1950)東京生まれ。明治大学名誉教授。演劇学・近代日本演劇。 昭和53年(1978)より国立劇場芸能部制作室勤務。 平成8年(1996)より明治大学文学部助教授を経て、令和3年(2021)まで同教授。 (著書) 『近代演劇の来歴──歌舞伎の「一身二生」』(森話社)、『近代演劇の水脈──歌舞伎と新劇の間』(同) (編著) 『忘れられた演劇』『商業演劇の光芒』『興行とパトロン』(近代日本演劇の記憶と文化、森話社)ほか (共編) 『河竹黙阿弥集』(新日本古典文学大系明治篇、岩波書店) 『映画のなかの古典芸能』(日本映画史叢書、森話社) 『日本戯曲大事典』(白水社)ほか |