美術・芸術
スポーツ/アート
スポーツ/アート

本体3200円(+税)
中尾拓哉[編]
四六判/432頁

978-4-86405-145-3
C0070
2020.02

美術・芸術


競技と美術のミッシング・リンク
スタジアムの変遷や記録との関係、芸術家の参加などオリンピックをめぐる歴史から、スポーツと美術作品の顕在的/潜在的な相互作用、さらに競技、運動、観客をとりまくテクノロジーの問題、そしてeスポーツに至るまで、美術・写真・映像・身体表現など多彩な研究者、評論家、アーティストによる様々な視点から、スポーツ/アートの境界上に新たな結びつきを探る。

【目次】

I
01 スウィングとスピン──「アート」としてのスポーツ、「スポーツ」としてのアート=北澤憲昭
02 オリンピックスタジアムの変遷=暮沢剛巳
03 バランスをとること──ゲルハルト・リヒターとブリンキー・パレルモのミュンヘンオリンピックのスタジアムへの提案をめぐって=鈴木俊晴

II
04 スポーツ映像の美学と政治──レニ・リーフェンシュタールの『オリンピア』をめぐって=渋谷哲也
05 熱狂の頂──日本におけるパウル・ヴォルフの受容と戦前のスポーツ写真=打林 俊
06 スポーツ漫画映画とナショナル・ボディ──戦前期日本のアニメーション表現に見るスポーツ的身体=渡邉大輔

III
07 イヴ・クラインの柔道=中尾拓哉
08 観念と絵画の狭間に打ちつける拳=栗本高行
09 フローの感覚──バスケットボールの経験から=大山エンリコイサム

IIII
10 人が運動に隷属する時=山峰潤也
11 運動を見るという運動──スポーツと芸術の観客身体論序説=木村 覚
12 見下ろすことの享楽──VAR試論=原田裕規
13 つくるスポーツ/するアート=犬飼博士 - 吉見紫彩


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【編者紹介】

中尾拓哉(なかお・たくや)
美術評論家。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。多摩美術大学美術学部芸術学科非常勤講師。
著書に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017)。監訳書にマシュー・アフロン『デュシャン 人と作品』(フィラデルフィア美術館、2018)。共著に『ストローブ=ユイレ』(森話社、2018)。主な論考に「50年あるいは100年後の鑑賞者――日本・マルセル・デュシャン論再考」(『美術手帖』2019年2月号)など。

【執筆者紹介】(掲載順)

北澤憲昭(きたざわ・のりあき)
美術評論家、美術史家。
主な著書に 『眼の神殿』(美術出版社、1989。2010にブリュッケより定本を刊行)、『岸田劉生と大正アヴァンギャルド』(岩波書店、1993)、『境界の美術史』(ブリュッケ、2000)、『アヴァンギャルド以後の工芸』(美学出版、2003)、『「日本画」の転位』(ブリュッケ、2003)、『〈列島〉の絵画』(ブリュッケ、2015)、『逆光の明治』(ブリュッケ、2019)。

暮沢剛巳(くれさわ・たけみ)
美術・デザイン評論。東京工科大学デザイン学部教授
著書に『世界のデザインミュージアム』(大和書房、2014)、『エクソダス』(水声社、2016)、『オリンピックと万博』(ちくま新書、2018)、『幻の万博』(共著、青弓社、2018)など。

鈴木俊晴(すずき・としはる)
豊田市美術館学芸員。近現代美術史。名古屋大学大学院文学研究科修了。名古屋芸術大学非常勤講師。
勤務館での企画として〈村瀬恭子 fluttering far away〉(2010)、〈フランシス・ベーコン〉(2013、東京国立近代美術館との共同企画)、〈奈良美智 for better or worse〉(2017)など。

渋谷哲也(しぶたに・てつや)
ドイツ映画研究。東京国際大学国際関係学部教授。
著書に『ドイツ映画零年』(共和国、2015)、編著書に『ファスビンダー』(共編、現代思潮新社、2005)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250』(共編、河出書房新社、2015)、『ナチス映画論』(共編、森話社、2019)など。また『わすれな草』やファスビンダー監督作品などドイツ映画の字幕翻訳を多数手がける。

打林 俊(うちばやし・しゅん)
写真史家、写真評論家。日本大学大学院芸術学研究科博士後期課程芸術専攻修了。博士(芸術学)。日本大学芸術学部非常勤講師。
著書に『絵画に焦がれた写真』(森話社、2015)、『写真の物語』(森話社、2019)。主な論考に《 A Forgotten Phenomenon: Paul Wolff and Formation of Modernist Photography in Japan 》(Dr. Paul Wolff & Tritschler: Light and Shadow-Photographs 1920-1950, Kehrer, 2019)。現在『日本カメラ』に「写真展が物語る」連載中。

渡邉大輔(わたなべ・だいすけ)
批評家・映画史研究者。跡見学園女子大学文学部現代文化表現学科専任講師。日本大学、明治学院大学非常勤講師。
著書に『イメージの進行形』(人文書院、2012)。主な共著に『スクリーン・スタディーズ』(東京大学出版会、2019)、『戦時下の映画(森話社、2019)など。主な論考に「父の不在と狂気の物語――『天気の子』試論」(『文學界』2019年10月号)など。

栗本高行(くりもと・たかゆき)
美術評論家。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。多摩美術大学美術学部芸術学科非常勤講師。
著書に『墨痕』(森話社、2016)。主な論考に「井上有一作品と三つのカタカナ」『井上有一 1955-1985』(金沢21世紀美術館カタログ、2016)、「線と文字がかたどる思想――ドローイング・前衛書・オノマトペ」『ヒツクリコ ガツクリコ ことばの生まれる場所』(左右社、2017)、「空間の詩法」(『墨』240-251号)など。

大山エンリコイサム(おおやま・えんりこいさむ)
アーティスト。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。
2012年よりニューヨークを拠点に世界各地で展覧会を行うほか、著書『アゲインスト・リテラシー』(LIXIL出版、2015)の刊行、コム デ ギャルソンやシュウ ウエムラとコラボレーションするなど、多角的に活動する。主な個展に〈ユビキタス〉(マリアンナ・キストラー・ビーチ美術館、カンザス、2017)、〈カイロスフェア〉(ポーラ美術館、2019)、〈VIRAL〉(中村キース・ヘリング美術館、2019)、〈インサイド・アウト〉(タワー49ギャラリー、ニューヨーク、2019)など。http://www.enricoisamuoyama.net

山峰潤也(やまみね・じゅんや)
キュレーター。東京都写真美術館、金沢21世紀美術館を経て水戸芸術館学芸員。
主な展覧会に〈3Dヴィジョンズ〉〈見えない世界の見つめ方〉〈恵比寿映像祭〉(4回 7回)、〈ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて〉〈霧の抵抗 中谷芙二子〉。ゲストキュレーターとしてSHARING FOOTSTEPS(2015、韓国、Youngeun Museum of Contemporary Art)、Eco Expanded City(2016、ポーランド、WROセンター)などに参加。2015年度文科省学芸員等在外派遣研修員。

木村 覚(きむら・さとる)
美学者。ダンス批評。BONUSディレクター。日本女子大学人間社会学部文化学科准教授。
著書に『未来のダンスを開発する』(メディア総合研究所、2009)ほか。2014年から「ダンスを作るためのプラットフォーム」であるBONUS(www.bonus.dance)を始動、アーティストたちとフレッシュなダンスのアイディアを開発し発信している。

原田裕規(はらだ・ゆうき)
美術家。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了。
社会の中で取るに足らないとされているにもかかわらず、広く認知されているモチーフを取り上げ、議論喚起型の問題を提起するプロジェクトで知られる。
代表的なプロジェクトに「ラッセン」や「心霊写真」を扱ったものがある。主な個展に〈One Million Seeings〉(KEN NAKAHASHI、2019)、編著書に『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社、2013)、連載に「プレイバック!美術手帖」(美術出版社、2018)など。

犬飼博士(いぬかい・ひろし)
運楽家。一般社団法人運動会協会理事。
ゲームデザイナー、eスポーツプロデューサーを経て「スポーツ共創」を提唱。デベロップレイヤーを育成する「未来の運動会プロジェクト」を推進。
主な受賞作に《Mr. Splash!》(インディーFC、2007)、《eスポーツグラウンド》(2010)、《アナグラのうた?消えた博士と残された装置?》(日本科学未来館、2011)、《スポーツタイムマシン》(2013)など。

吉見紫彩(よしみ・しさ)
画家。 アトリエe.f.t卒業、 神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士前期課程修了。
阪急電鉄株式会社及び関連研究所でのまちづくり事業を経て独立。
個展に〈Peaceful Sleep〉(Usagi、 ニューヨーク、 2019)、著作に『スポーツ共創ワークブック』(スポーツ庁、2019)、共著に『ゲーム学の新時代』(NTT出版社、2019)など。