日本映画史
戦時下の映画──日本・東アジア・ドイツ
戦時下の映画

本体4500円(+税)
岩本憲児・アン 二[編]
A5判/368頁

978-4-86405-136-1
C1074
2019.8

日本映画史


あの時代人々は何を見たのか
満洲事変後、日本は中国で戦争を拡大し、やがて対米英豪蘭との戦争に突入していった。当時の映画は、娯楽としてだけでなく、ニュース映画などをとおして一大映像メディアへと急成長していた。
その影響力の大きさから、体制側は国策遂行の一環として映画に強い期待を寄せた。本書では、日本国内の映画領域と、満洲、朝鮮、台湾、中国、ドイツに関する考察を交差させ、越境的な視点から「戦時下の映画」の多様な様相を浮かび上がらせる。

【目次】

【はじめに】「映画戦」への遠い道程=岩本憲児

【T 戦争の時代と映画】
映画統制構想の展開と映画工作=加藤厚子
“戦ふ映画館”──戦時下のオフ・スクリーン=近藤和都
日中戦時下の農村巡回映画の活動=平賀明彦
教化映画か教材映画か──「動く掛図」論争以後の教育映画/映画教育の言説と実践=渡邉大輔之
戦時下の映画ジャーナリズム=古賀 太

  【U 越境する映画】
初期満映について──雑誌『満洲映画』の記事から=上田 学
『東遊記』論=門間貴志
朝鮮映画の戦時体制──第二世代朝鮮映画人と映画国策=鄭 j樺
越境する植民地劇場──日帝末期・呉泳鎮のシナリオを中心に=李 相雨/渡辺直紀=訳
映画と台湾総督府の南進政策=李 道明/蔡 宜静=訳、岩本憲児・アン 二=監訳
占領下の上海映画と日本映画──文化融合と非協力=アン 二
“大東亜の歌姫”李香蘭の表象性──“幻”の映画『私の鶯』再検証=秦 剛
ドイツの銀幕における〈大東亜戦争〉=ハラルト・ザーロモン

略年表


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【編者紹介】
岩本憲児(いわもと けんじ)
早稲田大学名誉教授 専攻=映画史、映像論
『「時代映画」の誕生──講談・小説・剣劇から時代劇へ』(吉川弘文館、2016年)、『ユーモア文学と日本映画──近代の愉快と諷刺』(森話社、2019年)

アン 二(Yan Ni)
日本映画大学特任教授 専攻=比較映画史、表象文化論
『戦時日中映画交渉史』(岩波書店、2010年)、『ポスト満洲 映画論──日中映画往還』(共編著、人文書院、2010年)

【執筆者紹介】(掲載順)
加藤厚子(かとう あつこ)
学習院女子大学非常勤講師 専攻=日本近現代史
『総動員体制と映画』(新曜社、2003年)、「映画会社の市場認識と観客」(藤木秀朗編『観客へのアプローチ』日本映画史叢書14、森話社、2011年)

近藤和都(こんどう かずと)
大東文化大学社会学部講師 専攻=メディア研究
「統制の映画配給――戦時下日本におけるメディア・インフラストラクチャーの再構築」(遠藤薫編『日本近代における〈国家意識〉形成の諸問題とアジア――政治思想と大衆文化』勁草書房、2019年)、「オフ・スクリーンの映像文化史――大正・昭和期の複合施設型映画館」(光岡寿郎・大久保遼編『スクリーン・スタディーズ――デジタル/メディア時代の映像経験』東京大学出版会、2019年)

平賀明彦(ひらが あきひこ)
白梅学園大学・短期大学名誉教授 専攻=日本近現代史
『戦前日本農業政策史の研究』(日本経済評論社、2003年)、『両大戦間期の日本農業政策史』(蒼天社出版、2019年)

渡邉大輔(わたなべ だいすけ)
跡見学園女子大学文学部専任講師 専攻=日本映画史、映像文化論、メディア論
『イメージの進行形』(人文書院、2012年)、『スクリーン・スタディーズ』(共著、東京大学出版会、2019年)

古賀 太(こが ふとし)
日本大学芸術学部教授 専攻=映画史
岩本憲児編『日本映画の海外進出──文化戦略の歴史』(共著、森話社、2015年)、岩本憲児ほか編『日本戦前映画論集──映画理論の再発見』(ゆまに書房、2018年)解説と解題

上田 学(うえだ まなぶ)
神戸学院大学人文学部准教授 専攻=映画史、日本思想史
『日本映画草創期の興行と観客──東京と京都を中心に』(早稲田大学出版部、2012年)、『浅草文芸ハンドブック』(共著、勉誠出版、2016年)

門間貴志(もんま たかし)
明治学院大学文学部教授 専攻=映画史、アジア映画
『アジア映画にみる日本T 中国・香港・台湾編』(社会評論社、1995年)、『朝鮮民主主義人民共和国映画史』(現代書館、2012年)

鄭 j樺(チョン ジョンファ/Chung Chong-Hwa)
韓国映像資料院主任研究員、慶熙大学演劇映画学科兼任教授 専攻=韓国映画史、韓日比較映画史
『韓国映画100年史──その誕生からグローバル展開まで』(明石書店、2017年)、『韓国近代映画史──1892年から1945年まで』(共著、韓国・ドルベゲ、2019年)

李 相雨(イ サンウ/Lee Sang-Woo)
高麗大学国語国文学科教授 専攻=韓国近代文学(韓国近代劇・映画)
『植民地劇場の演技されたモダニティー』(韓国・召命出版、 2010年)、『劇場、政治を夢見る』 (韓国・テオリア、 2018年)

李 道明(リー ドミン/Lee Daw-Ming)
香港バプテスト大学客員教授 専攻=映画史(ドキュメンタリーの歴史と美学)
Historical Dictionary of Taiwan Cinema. Lanham, MD: Scarecrow, 2013, 『紀録片:歴史、美學、製作、倫理』(修訂二版、台湾・三民書局、2015年)

秦 剛(シン ゴウ/Qin Gang)
北京外国語大学北京日本学研究センター教授 専攻=日本近現代文学
「東映動画『白蛇伝』におけるポストコロニアルな想像力──その中国表象の歴史的連続性を中心に」(『Intelligence インテリジェンス』第18号、文生書院、2018年3月)、「戦時末期の上海で発行された『大陸』──歴史に埋れた〈外地〉の日本語総合誌」(『早稲田文学』2018年初夏号、2018年4月)

ハラルト ・ ザーロモン(Harald Salomon)
ベルリン・フンボルト大学森鴎外記念館館長 専攻=日本近現代史
「『愛の一家』の映画化──戦時期日本とドイツ家庭小説」(岩本憲児編『家族の肖像──ホームドラマとメロドラマ』日本映画史叢書7、森話社、2007年)、「ドイツにおける日本映画の受容──最初期の鑑賞会から『十字路』『ハワイ・マレー沖海戦』へ」(『日本映画の海外進出』森話社、2015年)

【翻訳者紹介】
渡辺直紀(わたなべ なおき)
武蔵大学人文学部教授 専攻=韓国文学
『林和文学批評──プロレタリア文学と植民地的主体』(韓国・ソミョン出版、2018年)、『戦争する臣民、植民地の国民文化』(共編、ソミョン出版、2010年)

蔡 宜静(サイ ギセイ/Tsai Yiching)
福建師範大学外国語学院准教授 専攻=日本近代文学
「台湾における日本映画の断絶と交流──一九五〇─一九七二」(『日本映画の海外進出』森話社、2015年)、「小説創作題材の源と異国旅行実践との関連――井上靖、松本清張と司馬遼太郎の三者間の比較」(『台大日本語文研究』第35期、台湾大学日本語文学系、2018年)