写真史・芸術 | |
写真の物語 イメージ・メイキングの400年史 | |
打林俊[著] |
|
写真の誕生から180年。いまではさまざまなイメージがメディアに溢れ、誰もがあたりまえに接している「写真」とは本来どのようなものなのだろうか。 写真発明の前史から現代までの400年の歴史を、発明競争、技法の開発、大衆の欲望、美術やメディアとの相互関係といった観点から豊富な作品例とともにたどり、交錯する歴史から、「モノ」としての写真とその発展をめぐる人々の物語を描き出す、気鋭の写真史家による新たな写真史。作品図版も多数掲載し、入門書としても最適。 写真史は極上の物語だ! 写真史は無味乾燥な事実の羅列でも、何人かの英雄たちの栄光と名誉の記録でもない。それは写真という奇妙な媒体に取り憑かれた人間たちによる、「物の見方」の解体と再編のプロセスである。銀塩からデジタルへ、「イメージ・メイキングの地殻変動」が進行するこの時期にこそ、ぜひ本書をひもといてほしい。 ──飯沢耕太郎(写真評論家) 【目次】 プロローグ 写真史を学ぶ意義──写真について考えてみる 【T】 第1章 焦点を結ぶ欲望 第2章 目隠しの接戦──写真の発明まで 第3章 視覚革命──初期写真と社会のかかわり 第4章 初期写真の技法史 第5章 表現の広がり──ウェット・コロジオン・プロセスによる記録とドライ・プレートの登場 column 錬金術と空想科学から見る写真 【U】 第6章 芸術の息吹──写真と美術の最初の接触 第7章 「写真らしさ」と芸術──ピーター・ヘンリー・エマーソンとピクトリアリズムの成立 第8章 ピクトリアリズムの展開──一八九〇年代から一九二〇年代 第9章 さまざまな印画技法と小型カメラの登場 column 写真としての美術──絵画複製写真の世界 【V】 第10章 モダニズム写真へ──鮮明なイメージへの回帰 第11章 出版文化から見るアメリカのモダニズム写真 第12章 カラー写真小史 column ヴァナキュラー写真の分界──家族写真をめぐって エピローグ 戦前写真史年譜 あとがき 人名・団体名索引 |
|
本書をamazonで購入 |
|
【著者紹介】 打林俊(うちばやし しゅん) 1984年、東京生まれ。 2009年日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程映像芸術専攻修了、パリ第Tパンテオン=ソルボンヌ大学、国立芸術研究所招待研究生(2010?2011)を経て、2013年日本大学大学院芸術学研究科博士後期課程芸術専攻修了。博士(芸術学)。日本大学芸術学部非常勤講師。 専門は日欧視覚文化交流史、写真史、美術史。 著書『絵画に焦がれた写真──日本写真史におけるピクトリアリズムの成立』(森話社、2015)にかかる研究で花王芸術・科学財団第9回美術に関する研究奨励賞(2015)および日本写真芸術学会学術賞(2016)受賞。 共著に、《 A Forgotten Phenomenon: Paul Wolff and Formation of Modernist Photography in Japan 》(Dr. Paul Wolff & Tritschler: Light and Shadow: Photographs 1920-1950, Kehrer, 2019)、「外国写真展覧会の出品作に見るW・K・バートンの申し分のない教育の方向性」(『写真の起源?英国』東京都写真美術館、2019)、「アンリ・マティスの写実絵画不要論における写真をめぐって」(『イメージ制作の場と環境』中央公論美術出版、2018)など。 |