映画・映像 | |
日本のアニメーションはいかにして成立したのか | |
西村智弘[著] |
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《日本アニメーション学会賞2019》受賞 いまや日本の輸出産業となった「アニメーション」という概念は、どのようにして受容され、また変遷していったのか。 時代ごとの呼称や表現形式の分析を軸に、アマチュア作家や実験映画との関係、リミテッドアニメーションなど、これまで周縁的・境界的とされてきた創造活動に着目し、明治期から現代にいたるアニメーションの系譜をたどる。 【目次】 はじめに───アニメーションをめぐる名称 1 アニメーションという言葉 2 戦前・戦中のアニメーションをめぐる名称 3 戦後・現代のアニメーションをめぐる名称 [T BEFORE THE WAR] 第一章 戦前の日本にアニメーションの概念はなかった───アニメーションをめぐる名称についての考察 1 アニメーションの概念について 2 アニメーションという「共通の場所」 3 今日におけるアニメーションの概念 4 日本で公開された初期アニメーション 5 トリック映画とコマ撮り 6 影絵映画 7 人形映画 8 絶対映画 9 漫画映画 10 受容者の視点と制作者の視点 第二章 映画統制下のアニメーション───「線画」「描画」「動画」に関する研究 1 映画教育と映画検閲 2 線画と映画教育 3 描画と映画検閲 4 描画と分類学の思想 5 政岡憲三と動画 6 アニメーターとアニメーティング 7 アニメーション 第三章 戦前の自主制作アニメーション───アマチュア映画作家の「特殊映画」について 1 アマチュア作家のアニメーション 2 影絵映画の芸術性 3 前衛映画とアニメーション 4 大藤信郎とアマチュア映画 5 特殊映画とアニメーション 6 小型映画コンテストのアニメーション 7 田中喜次の影絵映画 8 岡野卯馬吉、荻野茂二、坂本為之、今枝柳蛙、森紅 9 荒井和五郎と竹村猛児 10 浅田勇の漫画映画 11 森紅と荻野茂二の抽象アニメーション 12 その後の特殊映画 [U AFTER THE WAR] 第四章 アニメーションの概念はいかにして確立されたのか───ノーマン・マクラレンの受容を中心に 1 戦後日本のアニメーション 2 ノーマン・マクラレンの作品 3 教育映画とアニメーション 4 グラフィック集団の『キネ・カリグラフ』 5 前衛映画としての『線と色の即興詩』 6 『線と色の即興詩』に対する反応 7 一九五〇年代のアニメーション 8 ジョン・ハラスとアニメーションの新しい運動 9 アニメーションとしての『線と色の即興詩』 10 漫画映画からアニメーションへ 11 アニメーション(動画)と漫画映画のずれ 第五章 アニメーションの概念はどのように変容したのか───リミテッドアニメーションから考える 1 一九六〇年代初頭のアニメーション 2 リミテッドアニメーション 3 アニメーション三人の会 4 テレビコマーシャルとリミテッドアニメーション 5 アニメーション三人の会とテレビコマーシャル 6 アニメーション三人の会と実験映画 7 グラフィック・アニメーション 8 手塚治虫と虫プロダクション 9 『鉄腕アトム』のリミテッドアニメーション 10 漫画映画、アニメーション、テレビ漫画 11 アニメーションとアニメ 12 今日におけるアニメーションの多様化 第六章 アートアニメーションとはなんであったのか───アニメーションの多様性をめぐる考察 1 アートアニメーションについて 2 アニメーション三人の会 3 一九七〇年代の自主制作アニメーション 4 一九八〇年代の自主制作アニメーション 5 手塚治虫とアートアニメーション 6 国際アニメーションフェスティバル広島大会 7 一九九〇年代の自主制作アニメーション 8 チェコの人形アニメーションの流行 9 アートアニメーションの広がり 10 山村浩二とアートアニメーション 11 自主制作アニメーションとアニメブーム 12 日本のアニメーションと海外のアニメーション アニメーション関連年譜 あとがき 主要作品名索引 主要人名・団体名・機関名索引 |
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【著者紹介】 西村智弘(にしむら・ともひろ) 映像評論家、美術評論家。 東京造形大学、東京工芸大学、阿佐ヶ谷美術専門学校非常勤講師。 専門は映像史、現代美術。日本映像学会、美術評論家連盟会員。 1993年、美術出版社主催〈第11回芸術評論募集〉で「ウォーホル/映画のミニマリズム」が入選。 著書に『日本芸術写真史──浮世絵からデジカメまで』(美学出版社、2008)、共編著に『スーパー・アヴァンギャルド映像術』(フィルムアート社、2002)、『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社、2016)、共著に京都造形大学編『映像表現の創造特性と可能性』(角川書店、2000)、西嶋憲生編『映像表現のオルタナティヴ──一九六〇年代の逸脱と創造』(森話社、2005)、村山匡一郎編『映画は世界を記録する──ドキュメンタリー再考』(森話社、2006)、主な論文に「日本実験映像史」(『あいだ』2003年3月号-2006年3月号)など。 |