芸能・演劇 | |
日本語オペラの誕生 | |
大西由紀[著] |
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《第51回(2019年度)日本演劇学会河竹賞奨励賞》受賞 《第24回日本比較文学会賞(2019年)》受賞 ヴァーグナーへの憧れに突き動かされて、日本でオペラの試演が始まったのは20世紀初頭のこと。歌舞伎や能を見慣れた当時の日本人は、オペラをどのように理解/誤解し、自分たちの表現を見つけていったのか。 オペラへの野心が感じられる鴎外・逍遙の戯曲から、帝劇歌劇部を経て、お伽歌劇や浅草オペラに至るまで――。試行錯誤の中から誕生した和洋折衷の「日本語オペラ」の実態を、台本の精読をとおして明らかにする。 【目次】 はじめに──問題の設定 [第一部 物語る声は誰のものか──東西の戯曲形式の狭間で] 第一章 オペラが目指されなかった時代──演劇改良論から新劇運動まで 第一節 オペラ劇場への憧れと、オペラ待望論の欠如──演劇改良論 第二節 独白表現と「チョボ」の呪縛──『ハムレット』をめぐって 第二章 二つの浦島劇──森鴎外『玉篋両浦嶼』と坪内逍遙『新曲浦島』 第一節 ヴァーグナー・ブームとオペラ待望論 第二節 「白を主とする劇」──『玉篋両浦嶼』 第三節 「振事」を基礎とする「新国劇」──坪内逍遙『新曲浦島』 第三章 オペラと歌舞伎と「叙事唱歌」の距離──北村季晴『露営の夢』 第一節 音楽劇『露営の夢』の成立まで 第二節 歌舞伎座における上演の実態 第三節 歌唱者の振り分け──義太夫節の歌舞伎化との対照において [第二部 音楽劇は何を物語るべきか、何を物語れるのか] 第四章 日本人による初期の歌劇上演 第一節 東京音楽学校『オルフォイス』 第二節 楽苑会の創作および翻訳歌劇上演 第三節 前期文藝協会の上演した逍遙の音楽劇作品 第四節 山田耕作『誓の星』 第五章 帝国劇場の試行錯誤 第一節 帝国劇場の誕生──新時代の理想と伝統の継承 第二節 第二節 女優と歌手、バレエとオペラ──帝国劇場歌劇部の発足と『胡蝶の舞』 第三節 日本的題材の採用の是非──『熊野』 第四節 劇評界の示した二つの方向──『釈迦』 第五節 「常磐津のオペラ」という反動──『江口の君』 第六節 その他の歌劇関連の演目 第六章 帝劇歌劇部の達成したもの 第一節 ローシー指揮下の洋楽音楽劇の展開 第二節 小林愛雄の翻訳喜歌劇台本──『ボッカチオ』を例に 第三節 帝劇洋劇部の解散以降 [第三部 歌とセリフは、それぞれ何を物語るのか] 第七章 実験の場としての「お伽歌劇」 第一節 歌とセリフのすみ分け──北村季晴『ドンブラコ』 第二節 音楽の挿入を目的とする劇──本居長世『うかれ達磨』 第三節 『ドンブラコ』『うかれ達磨』から見えてくるもの 第八章 レコードになったお伽歌劇 第一節 佐々紅華の仕事 第二節 語り物の系譜に連なる音楽劇──『ウントコ爺さん』 第三節 日本的な節回しの呪縛──『ウサ??兎』 第四節 浅草での仕事ぶりを予感させる作品──『目なし達磨』 第五節 口語散文の自在な歌唱──『茶目子の一日』 第六節 「文句集」における歌とセリフの位置付け──「むすびに」に代えて 第九章 浅草オペラ──観客の支持した新しい音楽劇 第一節 浅草オペラとはどのようなものであったか──先行研究をもとに 第二節 帝劇時代の翻訳台本からの逸脱──再び『ボッカチオ』を例に 第三節 替え歌オペラ──伊庭孝『女軍出征』、佐々紅華『カフェーの夜』 第四節 「本格」オペラ上演への憧れ──小松耕輔訳『ファウスト』『椿姫』 むすびに 参考文献一覧 略年譜 あとがき 主要外国作品原題・邦題対照表 主要索引 |
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【著者紹介】 大西由紀(おおにし・ゆき) 東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は比較文学・翻訳論。現在、東京大学大学院総合文化研究科助教。 主な共著書に、『キーワードで読む オペラ/音楽劇 研究ハンドブック』(アルテスパブリッシング、平成29年)、『浅草オペラ 舞台芸術と娯楽の近代』(森話社、平成29年)、『貴志康一と音楽の近代──ベルリン・フィルを指揮した日本人』(青弓社、平成23年)。 |