映画・映像 | |
ストローブ=ユイレ シネマの絶対に向けて | |
渋谷哲也[編] |
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文学・音楽・演劇・美術・歴史・思想・政治など、広範なモチーフを作品に取り入れながら、なお「映画」でしかありえない特異な演出法において極北の存在である映画作家ジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレ。 多言語を駆使し、説明性を排除した難解さゆえ、ときに観客を尻込みさせる彼らの作品を、その背景や原作との関係から多角的に読み解く。 【目次】 T 1 テクスト+映画──ストローブ=ユイレの脚色論=渋谷哲也 2 映画監督の仕事──ストローブとユイレの文書から分かること=サリー・シャフトウ(持田 睦=訳) 3 ストローブ=ユイレ、量塊的映画=小澤京子 U 4 テクストの声、大地のざわめき=千葉文夫 5 セザンヌに映り込む=中尾拓哉 6 カヴァロッティ通りの老狐──『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』をめぐるストローブとの対話=伊藤はに子 7 語りの時間差による音楽の解放──『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』=筒井武文 V 8 「ストローブ=ユイレ派」は存在するか?──同時代の作家たち=赤坂太輔 9 イメージから抵抗へ──アドルノ美学とストローブ=ユイレ=竹峰義和 10 『歴史の授業』における「語り手」の抹消とまなざしの活性化──ブレヒトの小説『ユリウス・カエサル氏の商売』の映像作品への転換について=中島裕昭 W 11 革命の民族誌──『早すぎる、遅すぎる』論=金子 遊 12 「共産主義のユートピア」論──ユイレとストローブの『エンペドクレスの死』をめぐって=持田 睦 13 ストローブ=ユイレとアンドレ・バザン──存在論的リアリズム、脚色、超=演劇=堀 潤之 14 ストローブとユイエの映画──1963-2015=細川 晋 あとがき=渋谷哲也 ストローブ=ユイレ フィルモグラフィー&作品名索引 |
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【編者紹介】 渋谷哲也(しぶたに・てつや) ドイツ映画研究。東京国際大学国際関係学部教授。 著書に『ドイツ映画零年』(共和国、2015)、編著書に『国境を超える現代ヨーロッパ映画250──移民・辺境・マイノリティ』(共編、河出書房新社、2015)、『ファスビンダー』(共編、現代思潮新社、2005)など。また『わすれな草』『あやつり糸の世界』『イエロー・ケーキ』などドイツ映画の字幕翻訳を多数手がける。 【執筆者紹介】(掲載順) サリー・シャフトウ(Sally Shafto) フランス及びマグレブ映画研究家。サラ・ローレンス大学客員講師、ウィリアムズ大学リサーチ・アソシエイト。『カイエ・デュ・シネマ』の旧英語版サイトにて翻訳を担当。2010年から2015年まで映画教育と映画祭取材のためモロッコに滞在。 著書にZanzibar: Les films Zanzibar et Les dandys de mai 1968 (Paris: Experimental, 2007)、編訳書にJean-Marie Straub and Danielle Huillet, Writings (New York: Sequence Press, 2016)など。 小澤京子(おざわ・きょうこ) 表象文化論研究。和洋女子大学人文学群准教授。 著書に『ユートピア都市の書法──クロード = ニコラ・ルドゥの建築思想』(法政大学出版局、2017)、『破壊のあとの都市空間──ポスト・カタストロフィーの記憶』(分担執筆、青弓社、2017)、『都市の解剖学──建築/身体の剥離・斬首・腐爛』(ありな書房、2011)、映画関連の論考に「《ゴダールの〈建築空間》の撹乱〉」(『ユリイカ(特集:ゴダール2015)』2015)、「映画における服飾的細部と着崩される文体(スタイル)」(『ユリイカ(特集:ウェス・アンダーソン)』2014)など。 千葉文夫(ちば・ふみお) フランス20世紀文学・イメージ論。早稲田大学名誉教授。 著書に『ファントマ幻想──30年代パリのメディアと芸術家たち』(青土社、1999)、『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(分担執筆、森話社、2014)、訳書にミシェル・レリス『縫糸』(平凡社、2018)、『ミシェル・レリス日記』(みすず書房、2001-2002)、ポール・ヴィリリオ『戦争と映画──知覚の兵站術』(平凡社ライブラリー、1999)など。 中尾拓哉(なかお・たくや) 美術評論家。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。 著書に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017)、主な論考に “Reflections on the Go Board”(Gabriel Orozco, Visible Labor, Rat Hole Gallery Books, 2016)など。 伊藤はに子(いとう・はにこ) 翻訳・著述業。専門は音楽学(ケルン大学・修士)。 訳書に『アンナ・マグダレーナ・バッハ──資料が語る生涯』(春秋社、2010)など。音楽事典 “Die Musik in Geschichte und Gegenwart” (Kassel 2003)執筆者。 筒井武文(つつい・たけふみ) 映画監督。東京藝術大学大学院映像研究科教授。 映画作品に『レディメイド』(1982)、『ゆめこの大冒険』(1986)、『学習図鑑』(1987)、『アリス・イン・ワンダーランド』(1988)、『オーバードライヴ』(2004)、『孤独な惑星』(2011)、『バッハの肖像』(2010)、『映像の発見=松本俊夫の時代』(5部作、2015)、『自由なファンシィ』(2015)など。 赤坂太輔(あかさか・だいすけ) 映画批評家。立教大学講師。 シネクラブnew century new cinemaを主宰、1990年代から世界の日本未公開作品や作家の紹介上映活動をおこなう。Derives, La Furia Umana、e-lumiere、desistfilm、中央評論等に寄稿。2015年より雑誌『NOBODY』に「メディア批判としての現代映画」連載中。著書に『マノエル・ド・オリヴェイラと現代ポルトガル映画』(分担執筆、EMブックス、2003)がある。 竹峰義和(たけみね・よしかず) 近現代ドイツ思想・映像文化論。東京大学大学院総合文化研究科准教授。 著書に『アドルノ、複製技術へのまなざし──〈知覚〉のアクチュアリティ』(青弓社、2007)、『〈救済〉のメーディウム──ベンヤミン、アドルノ、クルーゲ』(東京大学出版会、2016)。訳書に、ミリアム・ブラトゥ・ハンセン『映画と経験──クラカウアー、ベンヤミン、アドルノ』(共訳、法政大学出版会、2016)、テオドール・W・アドルノ『模範像なしに──美学小論集』(みすず書房、2017)など。 中島裕昭(なかじま・ひろあき) 現代ドイツ演劇・演劇教育研究。東京学芸大学教育学部教授。 著書に『〈教師〉になる劇場──演劇的手法による学びとコミュニケーションのデザイン』(分担執筆、フィルムアート社、2017)、『学校という劇場から──演劇教育とワークショップ』(分担執筆、論創社、2011)、『ドラマ教育入門──創造的なグループ活動を通して「生きる力」を育む教育方法』(分担執筆、図書文化社、2010)、訳書にエリカ・フィッシャー=リヒテ『パフォーマンスの美学』(共訳、論創社、2009)など。 金子 遊(かねこ・ゆう) 批評家、映像作家。慶應義塾大学非常勤講師。 著書に『辺境のフォークロア──ポスト・コロニアル時代の自然の思考』(河出書房新社、2015)、『異境の文学──小説の舞台を歩く』(アーツアンドクラフツ、2016)、『ドキュメンタリー映画術』(論創社、2017)、『映像の境域──アートフィルム/ワールドシネマ』(森話社、2017)で第39回サントリー学芸賞を受賞。編著書に『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(共編、森話社、2014)、『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(共編、森話社、2016)など。 持田 睦(もちだ・まこと) 演出家、河合塾講師。創造行為論。 編著書に『戦うことに意味はあるのか──倫理学的横断への試み』(共編、弘前大学出版会、2017)、訳書にペーター・ソンディ『ヘルダーリン研究──文献学的認識についての論考を付す』(共訳、ヘルダーリン研究会、法政大学出版局、2009)など。 堀 潤之(ほり・じゅんじ) 映画研究、表象文化論。関西大学文学部教授。 編著書に『越境の映画史』(共編、関西大学出版部、2014)、『ゴダール・映像・歴史──『映画史』を読む』(共編、産業図書、2001)。訳書にアンドレ・バザン『オーソン・ウェルズ』(インスクリプト、2015)、レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語── デジタル時代のアート、デザイン、映画』(みすず書房、2013)、ジャック・ランシエール『イメージの運命』(平凡社、2010)、コリン・マッケイブ『ゴダール伝』(みすず書房、2007)など。ジャン=リュック・ゴダール関連の DVD・BD 付属冊子に多数寄稿。 細川 晋(ほそかわ・すすむ) 文筆業。 DVD「ストローブ=ユイレ コレクション」(紀伊國屋書店、2002-2011)企画協力など。「ジャン=リュック・ゴダール?Blu-ray BOX」Vol.1-Vol.4(KADOKAWA、2017)付属冊子に収録作20本の解説執筆。 |