歴史・文化史・民俗学
術としての生活と宗教  漢民族の文化システム
術としての生活と宗教

渡邊欣雄
A5判/360頁
本体4600円(+税)
ISBN978-4-86405-121-7
C1039
2017.12

社会人類学


4千年以上の歴史を有し、世界最大の人口を誇る漢民族。「関係あり、組織なし」といわれる中国社会は、個々人の「コネ」によるネットワークが基盤となり、常に揺れ動きながら成立している。その動態的な関係が神や宇宙にまで及ぶ漢民族の文化システムを、「術」という観点から読み解く。
台湾、香港、大陸中国をフィールドに、40年にわたり風水、親族組織、祭祀儀礼などを追った著者の、漢民族研究集成。

【目次】

[序章]術としての生活と宗教

[第一章]漢民族の調査研究事始め
 第一節 台湾研究と客家文化──客家の人びとは永遠の友であり師である
 第二節 中国浙江省調査体験記
 第三節 中国研修紀行

[第二章]家族と親族の生活術
 第一節 中国東南部の親族組織
 第二節 香港水上居民の家族生活

[第三章]患者と高齢者の養生術
 第一節 治療法と病院文化
 第二節 差序体系下の高齢者養生術
 第三節 死の条件と往生術

[第四章]宇宙三界との交渉術
 第一節 術としての宗教
 第二節 玉皇上帝誕生祭をめぐる祭祀術の多様性
 第三節 餓鬼の変化とその対応術
 第四節 神・祖先と人の交流──台湾客家人の正月

[第五章]市場経済化する漢文化と風水術
 第一節 中国政治経済下の風水師
 第二節 拡がる風水術と知識の普及
 第三節 市場経済化する漢文化

[付章]フィールドワーク徒然草

[終章]要約と結論

参考文献
初出一覧
あとがき
主要索引


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【著者紹介】
渡邊欣雄(わたなべ・よしお)
1947年、東京生まれ。1969年、埼玉大学教養学部卒、1975年、東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程満期退学。博士(社会人類学)。
跡見学園女子大学・武蔵大学・東京都立大学・首都大学東京・中部大学・國學院大學を経て、東京都立大学名誉教授・首都大学東京名誉教授、明治大学島嶼文化研究所客員研究員、日本文化人類学会名誉会員。
華中師範大学客員教授、嘉応大学客家研究院客員教授、南師範学院客家学刊学術顧問。
伊波普猷賞(1985年)、東村村政功労賞(1990年)、沖縄研究奨励賞(1993年)受賞。中国にて2005年、民俗研究傑出成就賞を受賞。
著書に『宴』(共著、弘文堂、1975年)、『沖縄の社会組織と世界観』(新泉社、1985年)、『風水思想と東アジア』(人文書院、1990年)、『漢民族の宗教』(第一書房、1991年)、『世界のなかの沖縄文化』(沖縄タイムス社、1993年)、『風水 気の景観地理学』(人文書院、1994年)、『風水の社会人類学』(風響社、2001年)ほか。
編著に『親族の社会人類学』(至文堂、1982年)、『象徴と権力』(共編、弘文堂、1988年)、『祖先祭祀』(凱風社、1989年)、『風水論集』(凱風社、1994年)、『日本民俗大辞典』上下巻(共編、吉川弘文館、1999〜2000年)、『沖縄民俗辞典』(共編、吉川弘文館、2008年)ほか。