映画・映像
映像の境域  アートフィルム/ワールドシネマ
映像の境域

金子 遊
四六判/280頁
本体2900円(+税)
ISBN978-4-86405-117-0
C1074
2017-06

映画・芸術


《第39回サントリー学芸賞》受賞[芸術・文学部門]

映像と言語、映像と芸術、映像と記録、政治と前衛、土地と伝統、民俗と信仰、その境域にたちあがる現代の相貌。
映像表現の可能性を拡張したアヴァンギャルド映画や、様々な問題を含みこむ現代映画をその背景からとらえ直し、イメージの生成を探る、渾身の映像論集。
T部では、ロバート・フランク、イジドール・イズー、モーリス・ルメートル、ギー・ドゥボール、クリス・マルケル、ジョナス・メカス、マリー・メンケン、ジャック・スミス、ハリー・スミス、マヤ・デレン、スタン・ブラッケージ、パゾリーニ、松本俊夫、ジル・ドゥルーズ、マルグリット・デュラスらの表現をたどり、U部では、南米、中東、アフリカ、東欧、そして沖縄の現代映画から、その背後にある政治的、民俗的、地政学的問題を探る。


【目次】

序論──アヴァンギャルドとエスノグラフィ

T───映像詩の宇宙
     作家篇
     理論篇
U─01 ヨーロッパとラテンアメリカの往還
     赤きオオカミへの挽歌
     光と声の哲学的エッセイ──パトリシオ・グスマンとクリス・マルケル
     テロティシズム(Terroticism)──性とマージナルの映像
U─02 大きな物語と小さな物語
     現代映画とアメリカス──ホンジュラス・リベリア
     海の向こうで戦後がはじまる──アメリカ、イラク、アフガン
     パレスチナと約束の地──神話批判論
U─03 ロシアとグルジアの民俗を描く
     カフカース映画の民話的宇宙──テンギズ・アブラゼ
     ロシア監獄の入れ墨文化──デヴィッド・クローネンバーグ
     現世的な魂の救済──アンドレイ・スビャギンツェフ
U─04 世界と共鳴するオキナワ
     琉球のシェイクスピア──中江裕司
     批評の奪還──与那国島の批評家

あとがき──手に触れるフィルムの感触


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【著者紹介】

金子 遊(かねこ・ゆう)
映像作家、批評家。慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師、ドキュメンタリーマガジンneoneo 編集委員。映像、文学、民族学を領域横断的に研究する。
著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社、2015)、『異境の文学』(アーツアンドクラフツ、2016)、編著に『フィルムメーカーズ』(同前、2011)がある。
共編著に『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(森話社、2014)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250』(河出書房新社、2015)、『アピチャッポン・ウィーラセタクン』(フィルムアート社、2016)、『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』 (森話社、2016)、共訳書にマイケル・タウシグ『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』(水声社、2016)など。