歴史・文化史・民俗学 | |
〈老い〉の営みの人類学 沖縄都市部の老年者たち | |
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菅沼文乃[著] |
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遊郭をその起源とし、戦後は米兵相手の歓楽街として発展しながらも、本土復帰以降は衰退の途をたどった沖縄本島の辻地域。伝統的な沖縄社会とは異なるこの町で老いを迎える人びとを、デイサービスや短期賃貸アパートでのフィールドワークから描き出す。 社会が期待する高齢者像を受けいれず、逡巡の中から自らの老いを選びとる人びとのエスノグラフィー。 【目次】 [第一章]序論──老いを研究する 一 研究対象としての老い 二 老いをどのように検討するか──先行研究に見出される課題と本書の方針 [第二章]沖縄の老い 一 「長寿の島沖縄」イメージの形成 二 沖縄社会の老年者 三 新しい老いのシステム──近代福祉制度と老年者 四 小結 [第三章]辻という地域──その背景 一 辻遊郭 二 辻の「再興」 三 小結 [第四章]辻の現代的様相 一 高齢化の状況 二 郷友会の衰退 三 地域祭祀と移住者 四 親族関係の変化 五 小結 [第五章]社会福祉と老い 一 那覇市の社会福祉 二 辻老人憩の家 三 デイサービス 四 民踊レク講座 五 自分史同好会 六 新たな老いの形態と辻地域の老年者 七 小結 [第六章]独居老年者と老い 一 独居老年者の生活状況 二 単独独居老年者 三 短期賃貸アパート 四 短期賃貸アパート居住老年者 五 独居老年者の老いのプロセス 六 小結 [第七章]結論──老いるという行為 一 本論の再確認 二 老いるという行為 三 新しい老いの理解に向けて 参考文献 あとがき 索 引 |
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【著者紹介】 菅沼文乃(すがぬま・あやの) 1981年、愛知県生まれ。南山大学人間文化学科卒業、南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻博士課程修了。博士(人類学)。現在、南山大学人類学研究所非常勤研究員。 主な論文 「『長寿沖縄』社会での年老い方を考える」(『アリーナ』14号、中部大学、2012年) 「カテゴリー化される老年者」(『東アジアにおける高齢者のセイフティネットワーク構築に向けての社会人類学的研究(その2)』平成19─21年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(1))研究成果報告書、2011年) 「『高齢者福祉』『地域共同体』『高齢者』の間にある福祉意識の“ずれ”──『長寿の島』沖縄高齢者の生活調査から」(『調査研究報告書?豊かな高齢社会の探求』18号、ユニベール財団、CD-ROM、2010年) |