歴史・文化史・民俗学
「学校芸能」の民族誌  創造される八重山芸能
「学校芸能」の民族誌

呉屋淳子[著]
A5判/304頁
本体6800円(+税)
ISBN978-4-86405-109-5
C1039
2017.2

文化人類学・民俗芸能


「歌と踊りの島」と呼ばれ、多様な芸能を誇る八重山の島々では、高校生たちが地域の人々の力をかりて、民俗芸能継承の一翼を担っている。
学校と地域の相互行為によって創造される芸能を「学校芸能」として位置づけ、石垣島の高校でのフィールドワークから、民俗芸能の未来を描き出す。

【目次】

はじめに 「学校芸能」とは

第T部
[序章]現代社会における民俗芸能と学校
一 本書の背景と目的
二 先行研究の検討
三 調査概要
四 本書の構成

[第一章]調査地概況
一 沖縄県八重山諸島
二 八重山の歴史的背景
三 戦後八重山における学校教育の歴史

第U部
[第二章]歴史からみる八重山芸能とその成立過程
一 八重山への琉球古典芸能と大和芸能の流入
二 民俗芸能としての八重山の歌と踊り
三 八重山芸能の確立とその背景
四 戦後八重山における八重山芸能と琉球古典芸能
五 沖縄日本本土復帰以降の八重山芸能
六 八重山ひるぎの会の設立とその活動
  小括

[第三章]八重山芸能を創造する場としての学校
一 学校における八重山芸能の導入──萌芽期
二 八重山における芸能文化の形成と学校
三 沖縄県高等学校教職員組合の活動
四 琉球大学八重山芸能研究会
  小括

第V部
[第四章]「学校芸能」と全国高等学校総合文化祭
一 全国高等学校文化連盟の設立経緯
二 全国高等学校総合文化祭
三 沖縄県高等学校文化連盟の設立
四 沖縄県高等学校郷土芸能大会
五 全国高等学校総合文化祭沖縄大会
六 審査制度がもたらした影響
  小括

[第五章]「学校芸能」の創造と教育課程の関係
一 「学校設定科目」と「学校設定教科」
二 教育課程の再編成と八重山芸能
三 「研究所」と八重山芸能の教育
四 八重山芸能の指導者と授業
五 八重山芸能と教育課程
  小括

[第六章]「学校芸能」の現在
一 三高校の郷土芸能部の活動
二 三高校の郷土芸能部における演目と演出の特徴
三 三高校の郷土芸能部の活動に特定の流派が与える影響
四 地域社会と関わりながら展開する郷土芸能部の活動
五 八重山芸能の継承者の育成
  小括

[終章]「学校芸能」をめぐる視角
一 「学校芸能」からみる八重山芸能
二 「学校芸能」の創造と展開
三 「学校芸能」の未来と展望に向けて

参考文献
巻末資料
あとがき
索引


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【著者紹介】
呉屋淳子(ごや・じゅんこ)
1978年生
2007年 国立ソウル大学大学院社会科学人類学科修士課程修了
2012年 名古屋大学大学院教育発達科学研究科単位取得満期退学
2015年 博士(教育学)
専門は、教育人類学と民俗芸能研究。
現在は、山形大学教育開発連携支援センター講師。
民俗芸能を創造する「場」としての学校に着目しながら、2004年から朝鮮半島(ソウル・全羅南道)、2009年から南西諸島(八重山・沖縄・奄美)、2015年から東北(山形・宮城)を中心にフィールドワークを行っている。

主な著書および論文
「学校のなかの八重山芸能──人の移動と八重山芸能の成立過程に注目して」(『国立歴史民俗博物館研究報告』第199集、国立歴史民俗博物館編、2015年)
“Tanedori” of Taketomi Island: Education of Performing Arts and Interrogational Transmission, International Journal of Intangible Heritage, Volume 6, The national folk museum of Korea, 2011.