堤邦彦[著]
A5判/440頁
本体7800円(+税)
ISBN978-4-86405-107-1
C1095
2017.2
近世日本文学
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日常的な仏事や寺参りの風習が日本の全階層に行き渡ったのは、18世紀に入ってからだった。これによって寺社は、自院をアピールする縁起譚や宗祖を顕彰する高僧伝を、大衆の興味を引くものに変化させていく。
絵画化され、また伝奇性や娯楽性がふんだんに盛り込まれたそれらの文芸を「聖なる俗伝」と位置づけ、江戸中・後期の文芸と宗教の関係を解き明かす。
【目次】
はじめに
[T 近世高僧伝の文芸性と口承性]
第一章 近世高僧伝の虚と実──道元伝記の変容を中心に
第二章 親鸞の産女済度譚──縁起と口碑伝説のあいだ
第三章 蓮如上人・幽霊済度の島──真宗史と在地伝承
[U 絵解きと高僧絵伝]
第一章 勧化本と絵解き──幡随意上人伝の図像化をめぐって
第二章 二十四輩巡拝と関東絵伝
第三章 『西光寺御絵伝』と「鬼人成仏証拠之角縁起」
第四章 二十四輩寺院縁起の周辺──水辺の風土と念仏の勝利
第五章 親鸞伝から『性信上人絵伝』へ──報恩寺絵伝をよみとく
第六章 関東絵伝の近代──讃岐に渡った二十四輩伝承
[V 縁起と近世文学]
第一章 いくさ語りから怪談へ
第二章 浄瑠璃姫伝承と寺宝開帳
第三章 冥府は現世にあり──地獄観の近世的変容
第四章 福神と貧乏神──近世文学は「宿世の貧報」をどうとらえたか
第五章 上田秋成と唱導文化
[W 資料篇]
資料@『弾誓上人絵詞伝』
資料A『幡随意上人諸国行化伝』
あとがき
初出一覧
索引
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【著者紹介】
堤 邦彦(つつみ・くにひこ)
1953年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。京都精華大学人文学部教授。
専攻 日本近世文学、説話伝承史、怪異学
[著書]『近世仏教説話の研究──唱導と文芸』翰林書房、1996年
『近世説話と禅僧』和泉書院、1999年
『江戸の怪異譚──地下水脈の系譜』ぺりかん社、2004年
『女人蛇体──偏愛の江戸怪談史』角川書店、2006年
『江戸の高僧伝説』三弥井書店、2008年
[共著]『近世民間異聞怪談集成』国書刊行会、2003年
『日本妖怪学大全』小学館、2003年
『寺社縁起の文化学』森話社、2004年
『番町皿屋敷』国書刊行会、2005年
『近世略縁起論考』和泉書院、2007年
『遊楽と信仰の文化学』森話社、2010年
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