歴史・文化史・民俗学
〈境界〉を越える沖縄   人・文化・民俗
〈境界〉を越える沖縄

叢書・文化学の越境 24

小熊誠[編]
四六判/312頁
本体3000円(+税)
ISBN978-4-86405-097-5
C1039
2016.06

民俗学・文化人類学


日本の最南端に位置し 、独自の王国を持った沖縄には、地理的・歴史的に様々な「境界」が存在する。
変動し重層する「境界」と 、それを越えて移動する人や文化を、門中・観光・華僑・祭祀・墓・移民など、多様なトピックから描き出す。

【目次】

はじめに=小熊誠
1 日本と中国の境界を越える門中=小熊誠
2 歴史を越える門中──門中団体の事業と法人化=武井基晃
3 八重山にみる日本と台湾の二重性──台湾人観光の現場から=上水流久彦
4 地域と地域の境界に埋もれた歴史を思い起こす──琉球華僑・華人を中心に=八尾祥平
5 海を越える神役──移住者と故郷との宗教的連帯=平井芽阿里
6 海を越える墓──現代沖縄の「墓の移動」をめぐる語りと情緒=越智郁乃
7 二つの憑依宗教文化の接合──沖縄系ブラジル人というハイブリッドな主体の〈叙述〉=森幸一
あとがき=小熊誠

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【著者紹介】

[編者]
小熊誠(おぐま・まこと)
神奈川大学歴史民俗資料学研究科教授。民俗学。
『日本の民俗12 南島の暮らし』(共著、吉川弘文館、2009年)、「“間”の民俗──養子制度から沖縄の門中を再検討する」(『歴史と民俗』30、神奈川大学日本常民文化研究所論集、2014年)。

[執筆者]
武井基晃(たけい・もとあき)
筑波大学人文社会系准教授。民俗学。
「系図と子孫──琉球王府士族の家譜の今日における意義」(『日本民俗学』275、2013年8月)、「自動車社会化と沖縄の祖先祭祀」(関沢まゆみ・国立歴史民俗博物館編『盆行事と葬送墓制』吉川弘文館、2015年)

上水流久彦(かみづる・ひさひこ)
県立広島大学地域連携センター准教授。社会人類学、地域社会論。
『交渉する東アジア──近代から現代まで』(共編著、風響社、2010年)、『境域の人類学──八重山・対馬にみる「越境」』(共編著、風響社、2016年刊行予定)

八尾祥平(やお・しょうへい)
神奈川大学経営学部非常勤講師。社会学、華僑華人研究。
「戦後における台湾から「琉球」への技術導入事業について」(蘭信三編『帝国以後の人の移動』勉誠出版、2013年)、「琉球華僑──顔の見えないエスニック・マイノリティ」(谷富夫編『持続と変容の沖縄社会』ミネルヴァ書房、2014年)

平井芽阿里(ひらい・めあり)
中部大学全学共通教育部専任講師。民俗学、文化人類学。
『宮古の神々と聖なる森』(新典社、2012年)、「村落祭祀の継承に関する一考察──宮古島西原の「ミャークヅツ」を事例に」(田窪行則編『琉球列島の言語と文化──その記録と継承』くろしお出版、2013年)

越智郁乃(おち・いくの)
立教大学観光学部助教。文化人類学、民俗学。
「『この世の家』と『あの世の家』──現代沖縄における家屋・墓・仏壇の移動と「家」の継承をめぐって」(小池誠・信田敏宏編『生をつなぐ家』風響社、2013年)、「ゲート前という接触領域──沖縄県那覇市新都心における軍用地の記憶と返還地の開発」(『コンタクト・ゾーン』7、京都大学人文科学研究所、2015年3月)

森幸一(もり・こういち)
サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部教授。文化人類学、沖縄(移民)研究。
『日系移民社会における言語接触のダイナミズム──ブラジル・ボリビアの子供移民と沖縄系移民』(共編著、大阪大学出版会、2015年)、Dialogos Interculturais: Reflexoes Interdisciplinares e Intervencoes Psicossociais(共著、E-book、2013年、IEA/USPサンパウロ大学高等研究院)