文化史・メディア論
大衆文化とナショナリズム
大衆文化とナショナリズム

朴順愛・谷川建司・山田奨治[編]
A5判/344頁
本体4500円(+税)
ISBN978-4-86405-095-1
C1036
2016.05

文化史・メディア論


アニメ・音楽・映画・小説などの大衆文化は、国家やエスニックグループの境界を溶かし、〈共感の共同体〉をつくり上げてきた。しかしときにナショナリズムと共犯関係を取り結ぶこともある。
強い求心力の裏に複雑な様相をのぞかせる大衆文化に、日韓の論者がそれぞれの切り口で挑む。

【目次】

まえがき──大衆文化とナショナリズムの深い関係=山田奨治
*
「日本大衆文化とナショナリズム」学際的研究の必要性=朴 順愛

[I 伝統文化/文学]
1 茶の湯文化の政治性──あるいは茶の湯文化をポピュラー文化で扱うことの政治性=谷川建司
2 宮城道雄の庶民的ナショナリズム=申 昌浩
3 半井桃水『胡砂吹く風』と「朝鮮」──大衆性の行方=全 美星

[II 表象/アニメ]
4 東京オリンピックプレ・イベントとしての赤と白の色彩──エンブレムとブレザーが喚起したナショナリズム=竹内幸絵
5 「文化圏」としての『ガールズ&パンツァー』──サブカルチャーをめぐる産官民の「ナショナル」な野合=須藤遙子

[III 外来文化/在日文化]
6 「韓流ブーム」から「嫌韓ムード」へ──対韓ナショナリズムの一側面=市川孝一
7 一九五〇年代におけるソビエト文化受容──文化運動と日本的なものとの結びつきを中心に=吉田則昭
8 「在日」文化とナショナリズム=尹 健次

[IV スポーツ]
9 日本のスポーツナショナリズム──プロレスラー力道山を中心に=朴 順愛
10 戦後日本の人気スポーツとナショナリズム=寺沢正晴
*
あとがき=谷川建司

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【編者紹介】

朴順愛(パク・スンエ)
(韓国)湖南大学校教授。社会学
『日本大衆文化と日韓関係』(共編著、三元社、2002年)、『サブカルで読むナショナリズム』(共著、青弓社、2010年)

谷川建司(たにかわ・たけし)
早稲田大学政治経済学術院客員教授、国際日本文化研究センター客員教授。映画史、大衆文化研究
『アメリカ映画と占領政策』(京都大学学術出版会、2002年)、『戦後「忠臣蔵」映画の全貌』(集英社クリエイティブ、2013年)

山田奨治(やまだ・しょうじ)
国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学教授。情報学、文化交流史
『東京ブギウギと鈴木大拙』(人文書院、2015年)、『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』(人文書院、2016年)

【執筆者紹介】(執筆順)

申昌浩(シン・チャンホウ)
京都精華大学人文学部教授。都市文化コンテンツ論、生活宗教学
「房(バン)文化の系譜」(『都市歴史博覧──都市文化のなりたち・しくみ・たのしみ』共著、笠間書院、2011年)、「整形美人と新儒教精神」(『性欲の研究──エロティック・アジア』共著、平凡社、2013年)

全美星(ジョン・ミソン)
同志社大学グローバル地域文化学部准教授。日本近代文学、日韓比較文学
「転倒された軍国美談──広津柳浪「七騎落」論」(『日本研究』第44集、2011年10月)、「二つの近未来小説──菊池幽芳『己が罪』と趙重桓『双玉涙』比較」(『文芸論叢』第83号、2014年10月)

竹内幸絵(たけうち・ゆきえ)
同志社大学社会学部教授。広告史、デザイン史、歴史社会学
『近代広告の誕生──ポスターがニューメディアだった頃』(青土社、2011年)、『メディア学の現在[新訂第2版]』(共著、渡辺武雄他編、世界思想社、2015年)

須藤遙子(すどう・のりこ)
筑紫女学園大学現代社会学部准教授。文化政治学、メディア学
『自衛隊協力映画──『今日もわれ大空にあり』から『名探偵コナン』まで』(大月書店、2013年)、『東アジアのクリエイティヴ産業──文化のポリティクス』(共編著、森話社、2015年)

市川孝一(いちかわ・こういち)
明治大学文学部教授。社会心理学、メディア文化論
『人気者の社会心理史』(学陽書房、2002年)、『増補新版?流行の社会心理史』(編集工房・球、2014年)

吉田則昭(よしだ・のりあき)
立教大学社会学部兼任講師。社会学、マスメディア史
『戦時統制とジャーナリズム』(昭和堂、2010年)、『緒方竹虎とCIA』(平凡社、2012年)

尹健次(ユン・コォンチャ)
神奈川大学名誉教授。近代日朝関係史
『「在日」の精神史』全3冊(岩波書店、2015年)

寺沢正晴(てらさわ・まさはる)
神奈川大学人間科学部教授。社会学、社会心理学
『日本人の精神構造──伝統と現在』(晃洋書房、2002年)