映画・映像
日本映画におけるテクスト連関   比較映画史研究
日本映画におけるテクスト連関

山本喜久男[著]/奥村賢・佐崎順昭[編]
A5判/664頁
本体9800円(+税)
ISBN978-4-86405-093-7
C1074
2016-4

日本映画


戦後日本映画の黄金期を代表する小津安二郎、溝口健二、黒澤明、木下恵介、今井正の作品を、綿密なショット分析によって主に外国映画と相互比較をし、さらに他の芸術や芸能との連関にも言及しながら、テクスト間の影響関係や相互作用を明らかにする。
戦前の作品が中心だった『日本映画における外国映画の影響 比較映画史研究』(1983年)上梓後に執筆された遺稿を今回あらたに編集した。

【目次】

序章 日本映画の雰囲気

[T 小津安二郎]
第1章 小津と歌舞伎
第2章 二人の老やもめ──小津映画〈移りの詩学〉の誕生
第3章 無限の“空”の入れ子構造──伝統芸術と『晩春』のテクスト連関
第4章 『東京物語』の時空の揺らぎ

[U 溝口健二]
第1章 『近松物語』と下座音楽

[V 黒澤 明]
第1章 『素晴らしき日曜日』──黒澤明とD・W・グリフィス
第2章 『酔いどれ天使』と対照の語り
第3章 『裸の町』の『野良犬』への影響──両作品に関する内外の言説の史的展望
第4章 『野良犬』における反射性
第5章 『羅生門』の光と影の錯綜
第6章 『七人の侍』と外国映画

[W 木下恵介]
第1章 『わが恋せし乙女』のテクスト連関
第2章 木下恵介とフランク・キャプラ
第3章 リリー・カルメンて誰だ──テクスト連関の申し子
第4章 『二十四の瞳』のテクスト連関──ジャン・ルノワールから歌尽し人揃えまで

[X 今井 正]
第1章 『青い山脈』と『ミネソタの娘』──占領下の今井映画と欧米映画のテクスト連関
第2章 『また逢う日まで』と『ピエールとリュース』──二作品の窓ガラス越しのキス・シーンの差異の意味
第3章 『どっこい生きてる』と『自転車泥棒』──戦後の革新的西欧映画と日本映画との一つの出会い

終章 成瀬巳喜男の映画的宇宙

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【著者紹介】
山本喜久男(やまもと・きくお/映画史研究)
1931 年 東京にて出生
1954 年 早稲田大学第一文学部英文学専修卒業
1958 年 早稲田大学大学院文学研究科演劇専修修士課程修了
1967 年 同博士課程満期退学
1971 年 早稲田大学文学部演劇専修専任講師
1974 年 同助教授
1979 年 同教授
1997 年 早稲田大学を退職
2000 年 没

[主要著書]
『世界の映画作家31 日本映画史 実写から成長―混迷の時代まで』(共著キネマ旬報社、1976 年)、『日本映画における外国映画の影響 比較映画史研究』(早稲田大学出版部、1983 年)、『映画の風景』(早稲田大学出版部、1985 年)
[主要訳書]
ドナルド・リチー『小津安二郎の美学 映画の中の日本』(フィルムアート社、1978 年)、ポール・シュレイダー『聖なる映画 小津|ブレッソン|ドライヤー』( フィルムアート社、1981 年)

【編者紹介】
奥村 賢(おくむら・まさる/映画・映像研究)
いわき明星大学教養学部教授
編著書に『ドイツ・ニューシネマを読む』(共編著、フィルムアート社、1992 年)、『世界映画大事典』(共編著、日本図書センター、2008 年)、『映画と戦争 撮る欲望/見る欲望』(編著、森話社、2009 年)、訳書に『アンゲロプロス 沈黙のパルチザン』(フィルムアート社、1996 年)など

佐崎順昭(さざき・よりあき/日本映画史研究)
東京国立近代美術館フィルムセンター研究員
編著書に『FC90 内田吐夢監督特集』(共編著、東京国立近代美術館、1992 年)、『世界映画大事典』(共編著、日本図書センター、2008 年)、『映画公社旧蔵 戦時統制下映画資料集』(共編著、ゆまに書房、2014 年)など