日本文学[近代]
犀星という仮構
犀星という仮構

能地克宜[著]
A5判/344頁
本体5400円(+税)
ISBN978-4-86405-089-0
C1095
2016.01

日本文学[近代]


自伝小説を何度も書き換え更新していくことで自身を「仮構」として提示し続けた小説家・室生犀星。
他者と自己、虚構と事実の間を往還するその特異な方法論をよみとく。

【目次】

序章 室生犀星と自伝小説

T
第一章 〈自己〉=〈虚構〉を語ることに目覚める頃──『性に眼覚める頃』刊行まで

U
第二章 〈官能描写〉の物語──「海の散文詩」から「海の僧院」へ
第三章 〈変態〉を表象する〈感覚〉──「香爐を盗む」の方法
第四章 記憶を抑圧する〈音〉〈声〉──「心臓 退屈な孤独と幽霊に就いて」の感覚
第五章 女性心理との〈交際〉──「幾代の場合」論

V
第六章 〈くろがねの扉〉を開く室生犀星──〈市井鬼〉生成の場としての『鐵集』時代
第七章 完結した物語の弊害──〈市井鬼もの〉前史としての「あにいもうと」
第八章 〈都会の底〉に生きる少女たちの行方──「女の図」と連作小説
第九章 救済なき復讐、漂流する〈市井鬼〉──「龍宮の掏児」の試み

W
第一〇章 自伝小説の不可能性──純粋小説としての『弄獅子』
第一一章 自伝小説の中の浅草──犀星文学の原点

終章 犀星文学における自己言及性──「蜜のあはれ」の方法

あとがき
初出一覧
索引

本書をamazonで購入

【著者紹介】
能地克宜(のうぢ・かつのり)
1975年、東京都生まれ。
早稲田大学第二文学部文芸専修卒業。
早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。
博士(学術)。
私立中高国語科非常勤講師を経て、現在、いわき明星大学教養学部准教授。