歴史・文化史・民俗学
琉球列島の「密貿易」と境界線  1949-51
琉球列島の「密貿易」と境界線

本体5600円(+税)
小池康仁[著]
A5判/360頁

978-4-86405075-3
C1021
2015.03

現代史・政治社会学


終戦直後、米軍占領下の琉球において、台湾・日本との間に引かれた境界線を越え、警察や占領軍の監視をかいくぐり、物資を運んだ人びとがいた──。
与那国島・宮古島・沖縄本島・口永良部島を主な対象とし、軍政資料や裁判記録、当事者へのインタビューなどから、戦後の復興に寄与した「密貿易」人たちの実態を明らかにする。
国家から切り離され、自活を強いられた人びとの経済営為の中に、今後の島嶼社会が自立するためのモデルを見出す。

【目次】

序章 琉球列島における共同体の連携
 一 問題の所在
 二 「密貿易」のモデル化

第一章 与那国島私貿易ネットワークモデル
 一 前近代の与那国島、八重山社会
 二 近代の与那国島における人の移動──台湾との関係を中心に
 三 沖縄戦と琉球列島の占領、引き揚げ、私貿易の始まり
 四 与那国島近海の「密貿易」記録──一九五〇、五一年の取り締まり記録
 五 与那国・八重山の新聞資料にみる国際情勢と私貿易
 六 与那国島を往来した人々
 七 与那国島私貿易ネットワークモデル

第二章 宮古島の私貿易
 一 宮古島における貿易と漁業、私貿易の始まり
 二 宮古─与那国島ルートの私貿易
 三 宮古─糸満ルートの私貿易
 四 宮古における私貿易ネットワークの諸相

第三章 沖縄本島の私貿易
 一 糸満漁業者の発展と移動
 二 裁判所判決にみられる「密貿易」記録
 三 糸満出身者達の「密航」
 四 沖縄本島における私貿易ネットワークの諸相

第四章 口永良部島の私貿易
 一 一九四九年の「密貿易」取り締まり
 二 一九五〇年の「密航」・私貿易取り締まり
 三 口永良部島における私貿易
 四 口永良部島における私貿易ネットワークの諸相
終章 私貿易時代の終焉とそのネットワークの形態について

参考文献・資料一覧
あとがき
索引

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【著者紹介】
小池康仁(こいけ・やすひと)
1980年、千葉県生まれ。2012年、法政大学大学院政治学研究科政治学専攻博士後期課程修了(政治学博士)。現在、与那国町役場総務財政課台湾交流記録整理業務嘱託員、法政大学沖縄文化研究所国内研究員、沖縄大学地域研究所特別研究員。
主な論文に、「私貿易における拠点の島──鹿児島県口永良部島(1949─1950年)を事例として」(『島嶼コミュニティ研究』2、島嶼コミュニティ学会、2013年)、「『境界線』の変動と民衆(1)──琉球列島における『密航・密貿易』(1949─1951年)の政治社会学的考察(序章)」(『法学志林』111(2)、法政大学法学志林協会、2013年)など。