映画・映像 | |
クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト | |
港 千尋[監修] |
|
スチル写真で構成された近未来SF映画『ラ・ジュテ』や、八〇年代日本の霊性を異邦人の視点からとらえた『サン・ソレイユ』などの伝説的な作品で知られる映画作家、クリス・マルケル。 しかし 彼の創造性は映画にとどまらず、あらゆるメディアを滑らかに横断し表現されてきた、それは国境をも軽々と乗り越え、あらゆる拘束をすり抜けてゆく遊動のなかにみずからの惑星を創りだす。 ソヴィエト、ブラジル、キューバ、イスラエル、ギニア・ビサウ、中国、北朝鮮、日本そして、電脳世界まで。 映画、文学、写真、CG、インターネット、アクティヴィズム。空間とメディアを横断し創作を通して闘い続けた稀代の表現者。死後もなお注目をあつめてやまない、 その謎に包まれた世界を多角的に考察する、本邦初のクリス・マルケル論集。 【目次】 はじめに=港 千尋 T 1 原初の光景とその失墜=四方田犬彦 2 クリス・マルケル、あるいは運動と静止の戯れ=堀 潤之 3 短編映画、連環画としての『朝鮮の女たち』=門間貴志 U 4 赤きオオカミへの挽歌=金子 遊 5 祝祭と革命──クリス・マルケルとラテンアメリカ=柳原孝敦 6 社会主義の夢の挫折とその行方──『アレクサンドルの墓 最後のボルシェヴィキ』を中心に=鴻 英良 7 遍在する〈自由の猫〉たち──『笑う猫事件』とグラフィティ=東 志保 V 8 クリス・マルケルはメディア・アーティストか?=越後谷卓司 9 映像の《永久発明論》──マルケル、ルドゥー、ビオイ=カサーレス、メドヴェトキン=岡田秀則 10 ヴァーチャルな書物、あるいはクリス・マルケルの結合術=千葉文夫 11 脳のなかの猫=港 千尋 クリス・マルケル 年譜=吉田孝行 あとがき=金子 遊 クリス・マルケル フィルモグラフィー=東 志保 |
|
本書をamazonで購入 | |
【著者紹介】 [監修] 港 千尋(みなと・ちひろ) 写真家、多摩美術大学情報デザイン学科教授。 『芸術回帰論』(平凡社、2012年)、『革命のつくり方』(インスクリプト、2014年)。 [編者] 金子 遊(かねこ・ゆう) 批評家、映像作家。慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師。映像研究、民族誌学。 『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』(編著、アーツアンドクラフツ、2011年)、『アジア映画で〈世界〉を見る』(共著、作品社、2013年)。 東 志保(あずま・しほ) パリ第三大学映画学博士。映像研究、比較文化論。 「クリス・マルケルのOuvroirにみられる戦争の記憶」(『年報カルチュラル・スタディーズ』第1号、カルチュラル・スタディーズ学会、2013年)、「開かれた都市──クリス・マルケルの都市イメージにおける遊歩について」(博士論文、パリ第三大学、2014年) [執筆者](掲載順) 四方田犬彦(よもた・いぬひこ) 映画史・比較文学研究家。コロンビア大学東アジア学科客員研究員。 『ルイス・ブニュエル』(作品社、2013年)、『わが煉獄』(港の人、2014年)。 堀 潤之(ほり・じゅんじ) 関西大学文学部総合人文学科映像文化専修教授。映画研究、表象文化論。 『ゴダール・映像・歴史』(四方田犬彦との共編著、産業図書、2001年)、『越境の映画史』(共編著、関西大学出版部、2014年)。 門間貴志(もんま・たかし) 明治学院大学文学部芸術学科准教授。映画史。 『アジア映画にみる日本1』(社会評論社、1985年)、『朝鮮民主主義人民共和国映画史』(現代書館、2012年)。 柳原孝敦(やなぎはら・たかあつ) 東京大学大学院人文社会系研究科准教授。スペイン語圏の文学、文化研究。 『ラテンアメリカ主義のレトリック』(エディマン/新宿書房、2007年)、『映画に学ぶスペイン語』(東洋書店、2010年)。 鴻 英良(おおとり・ひでなが) 演劇批評家。 『二十世紀劇場──歴史としての芸術と世界』(朝日新聞社、1998年)、タデウシュ・カントール『芸術家よ、くたばれ!』(翻訳、作品社、1990年)。 越後谷卓司(えちごや・たかし) 愛知県美術館主任学芸員。映像研究。 『映画は世界を記録する──ドキュメンタリー再考』(共著、森話社、2006年)、『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』(共著、アーツアンドクラフツ、2011年)。 岡田秀則(おかだ・ひでのり) 東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員。映画史。 『ドキュメンタリー映画は語る』(共著、未來社、2006年)、『岩波映画 の1億フレーム』(共著、東京大学出版会、2012年)。 千葉文夫(ちば・ふみお) 早稲田大学文学学術院教授。イメージ論、フランス文学。 『ファントマ幻想』(青土社、1998年)、『絵を書く』(共著、水声社、2012年)。 吉田孝行(よしだ・たかゆき) 東京フィルメックス事務局勤務。 「クリス・マルケル小伝」(『ドキュメンタリーカルチャーマガジンneoneo』第3号、neoneo編集室、2013年) |