本体2300円(+税)
原井一郎[著]
四六判/320頁
978-4-86405-063-0
C0021
2014.06
近代史・奄美・沖縄
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奄美・沖縄の農民が血と涙で生み出してきた世界商品「砂糖」。
コメと同様に幕藩政治を支え日本近代化にも一役買ったその知られざる貢献を最下層の農民の視点から描き出す。
【目次】
【T 東アジアへの熱風】
クンタ・キンテへの道/鄭成功の夢見た海/石見銀山と砂糖/東インドのガーシ/アジア間競争に発展/奄美大島への着眼/国際金融資本の尖兵/外圧下の外交手腕/エンフィールド銃と砂糖/禿山残した白糖の夢/蘭館に散った島娘の恋/サクラを愛でた外交官
【U 砂糖政治史】
「砂糖」の巨大市場化/強靱な黒糖販売システム/財政危機が齎したもの/民富めば国富むの理/黒糖ブルジョアジーの簇生/技術革新から遠い南島/オランウータンの危機/殖産路線への意気込み/大久保利通を継ぐ者/龍馬に匹敵する五代友厚/大阪に近代資本主義の花/「政商」の汚名と毀誉/二番手・松方正義の登場/「松方財政」の光と影/「農」に冷たい為政者たち/「海運の時代」と三菱/原爆と三菱とグラバー/造船王・正蔵の青雲/「沖縄航路」めぐる攻防/馬艦船ビジネスの活況/島民による島民の航路/暗く沈んだ農村に改革を/糖業近代化に突然の光/西欧農法と駒場農学校/「稲のことは稲に聞け」/役人ビキ代表格の変転/南里と蘇鉄ハンター/北海道と砂糖大根/クラーク博士の薫化/失敗につぐ失敗/南島民は怠惰なりや/新納中三の誠実と苦悶/鹿児島糖商の最終戦/相場師・阿部彦の奄美進出/中江兆民が広めた糖業事件/戦争と砂糖消費税/精糖工業化の歩み/台湾糖ブーム/沖縄の分蜜糖業事情
【V 百姓とレジスタンス】
百姓と貧士の異夢/学校掲示板の打壊し/怒れる農民たちの筵旗/闇の中で苦吟する農奴/福沢諭吉への失望/「学問」は誰のものか/奴隷船と家人解放/黒糖への大蔵、県の虎視/絶望のレジスタンス/明治革命の未成就/憎悪の錯誤/傀儡・宮崎県政の悲しみ/西郷軍と農民一揆/いきり立つ沖縄奄美農民/新聞が伝える奄美の騒動/磯・島津邸を囲む筵旗/ワッパ騒動と鬼県令/貧民党はだれの子か/新たな「苦世」の出現/きびを植えソテツを食う
【W 革命と薩摩】
昆布貿易と薩摩武士/戦場に届けられた三万両/島津銀行の公私混同/功臣と逆賊のはざま/「大久保の影」岩村県令/士族銀行の砂糖支配/山田海三、台湾に死す/西南の役の島民犠牲/中江兆民の登場/褌にルソー民約論/愛犬と戦場の思い出/大久保利通の見た正夢
【X 琉球の苦悶】
水平線のむこうの遠雷/寄留商人と砂糖メーデー/与論島の自由うらやむ/猛威振るう「旧慣温存」/「琉球王」の辿った道/笹森儀助翁の義と情/探検家の栄光と挫折/奄美過熱選挙の源流/商人、税吏の手枷足枷/巨魁政商になった尚家/駒場での意外な出会い/「東風平・謝花」の帰省/利権漁る奈良原県政/「沖縄解放の父」の狂死/頑固党と開化党の握手/辺境・八重山への熱気
【Y 血と帝国主義】
帝国主義国家への道行/何のための富国強兵か/台湾武略と琉球の前途/「北門の鎖鑰」とアイヌ/「オモロ」と「ユーカリ」/入試と卒試の間隙で/アジア侵略のバネ/定まらぬ「伊波普猷」/私たちは一体誰なのか/王と臣民のメタファー/尖閣諸島と貝ボタン/砂糖移民と石炭囚人/アホウドリと大東島王国/樟脳からセルロイド/後藤新平と金子直吉/鈴木商店倒産の衝撃/「けつねうどん」と台湾/八重山の「砂糖難民」/沖縄は内地か植民地か/南島史観をめぐる憂鬱/二重の支配と差別/「主体の歴史」獲得を
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