日本文学[近世]
怪異の入口  近世説話雑記
怪異の入口

西田耕三[著]
A5判/360頁
本体7500円(+税)
ISBN978-4-86405-046-3
C1095
2013.02

日本文学[近世]


説話は野放図で、断片となってどこにでももぐりこみ、他の断片と衝突し合う。古人の説話も、私たちの内なる説話に衝突している。本書では、生が動き出すきっかけにもなる、このような創作と享受が混融する不思議な場を近世説話の生成にさぐる。

[第1章 怪異の入口]
天下泰平 怪異の創出 同夢の形 「小判は寝姿の夢」 格物と物格 物類相感 死後と生前 死骸を愛し死骸を食う 心の浮世 迷い道 丸い輪のモチーフ 海陸が割れる

[第2章 産女ノート]
生理と社会 堕胎と持ち籠り 怨霊 産女の周囲 話の中の産女

[第3章 禅僧の語る仏教説話──独庵玄光『護法集』を中心に]
大地に陥入する話 正太郎の髻 文太左衛門の骨 鯉魚の膾 よみがえり 犬江親兵衛の玉

[第4章 西鶴の愉悦]
「たはぶれし女三千七百四十二人」 「見つくす」系譜 「そこを切れ」 三つのウド 義理 「驚くは三十七度」 伝承の現前 鬼索債と不孝 気質としての不孝

[第5章 生人形の芭蕉]
「西国三十三所観音霊験記」 経石伝承 その後の芭蕉人形 押絵

[第6章 失物と天神]
失物 『天満宮霊験真書』 失物と天神 『大橋の中将』 失物と無実

[第7章 説話の創作性]
もう一人の景清 紹益の調査 妙幢の作為 蓮体の吟味 説経与七郎 「樊●(口偏に曾)」創成

[第8章 歴史の断片──永青文庫蔵雑記類より]
細川宗孝の死 八代妙見の霊符 藩士失踪 興津と阿部 秀吉の像の行方 『寛延奇談』

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【著者紹介】
西田耕三(にしだ こうぞう)
1942年、石川県生まれ。
東京大学文学部卒業、東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。熊本大学教授を経て近畿大学教授。2011年3月退職。
著書『生涯という物語世界──説経節』(世界思想社、1993年)、『人は万物の霊──日本近世文学の条件』(森話社、2007年)、『主人公の誕生──中世禅から近世小説へ』(ぺりかん社、2007年)、『近世の僧と文学──妙は唯その人に存す』(ぺりかん社、2010年)、『仏教説話集成(一)(二)』(国書刊行会、1990、1998年)。