日本文学[中世]
琉球宮廷歌謡論  首里城の時空から
琉球宮廷歌謡論

末次智[著]
A5判/464頁
本体8200円(+税)
ISBN978-4-86405-040-1
C1095
2012.10

琉球文学・日本文学


地域も時代も越えて広がっていくうたは、琉球の「宮廷」ではどのように響いたのか。本州弧の宮廷歌謡との比較を織り混ぜつつ、首里城という祭祀空間を読み解く。

【目次】
[序章]
うたとは何か──巫歌とワザウタから

[T 歌謡表現の基層]
1 成巫譚私注──文学空間の生成
2 神謡の再生──創世神話の広がり
3 生産叙事歌の伝統──ヤポネシアの歌謡表現
4 十七八歳の魅力とその源泉──歌謡の類型表現
5 二つのミロク歌──首里城下の流行歌

[U 宮廷という時空]
1 京の内庭の歴史──首里城の起源
2 京の内庭という場──首里城の祭祀空間
3 オモロの時空──宮廷祭祀の場

[V 宮廷歌謡としてのオモロ]
1 オモロという歌謡──宮廷の歌謡表現
2 キミテズリ神のオモロ──王権神の来訪
3 おもろ主取論──琉球宮廷歌謡歌唱者の系譜

[W 本州弧の歌謡の方へ]
1 記紀歌謡のディスクール──文字の抑圧
2 神の流行歌──古代ワザウタ表現の外部性
3 自覚するメディア──古代ワザウタの変遷
4 歌謡物語とオモロ──記紀との比較
5 王権の声──神楽歌表現の位相

[X 宮廷の教養]
1 琉歌の成立──宮廷の短詩型歌謡
2 雪のまぼろし──平安王朝から首里城へ
3 歴史叙述の位相──王朝の歴史書
4 土佐漂着琉球人の歌謡──士族の伝えた歌謡

[終章]
平安時代の琉球──異文化としての宮廷

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【著者紹介】
末次 智(すえつぐ さとし)
1959年、福岡県生まれ。京都市在住。琉球文学専攻。
琉球大学法文学部文学科国文学専攻卒業。立命館大学文学部大学院博士課程後期課程単位取得。
四條畷学園女子短期大学講師を経て、現在、京都精華大学人文学部准教授。
著書に『琉球の王権と神話──『おもろさうし』の研究』(第一書房、1995年)。
論文に、「身体の楽譜──琉球古典音楽野村流と世礼国男の「声楽譜」」(『沖縄文化』第42巻1号、沖縄文化協会、2008年5月)など。