芸能・演劇
演技術の日本近代  
演技術の日本近代

笹山敬輔[著]
A5判/304頁
本体5200円(+税)
ISBN978-4-86405-036-4
C1074
2012-05

近代演劇
第45回日本演劇学会
河竹賞奨励賞受賞


演じるのは「型」か「心」か
「演技術」とは、俳優が役を演じるための最適の声や身振り、表情を生み出す方法、それを組み合わせる方法、そしてそのための準備のプロセスである。本書では、歌舞伎・新劇・プロレタリア演劇などの日本近代演劇史を演技術の視点から再考察し、個々の演技術が具体的にどのような形態であったか、それがどのように変遷していったかを明らかにする。
【目次】
[序]
はじめに
本書の目的と問題設定
先行研究と本書の位置付け
本書の構成

[T]九代目市川団十郎の「肚」と「顔」
「肚芸」についての先行研究
団十郎の演技術
同時代の「肚芸」観
団十郎の「顔」とその周辺──照明・写真・観相学

[U]洋行と演技術──抱月・松翁・左団次
ビアボム・ツリーの演技
ロンドン俳優学校とデルサルト・システム
「内面」を可視化させる身体

[V]「型」は「心」の表現である──小山内薫から浅草へ
明治・大正期の俳優養成所の歴史
「型」による演技
小山内薫と「型」
ローシーから青山杉作へ

[W]何が「心」を演じるか──小山内薫におけるスタニスラフスキーと心霊主義
小山内薫とスタニスラフスキーについての先行研究
小山内薫と大本教
「演技をするのは霊魂である」
「心」をめぐる言説──心霊主義とフロイト

[X]舞台の演技から映画の演技へ──村田実と演技の法則
映画俳優学校の歴史
「映画劇俳優術」の全体像
「解剖」される活動俳優
喜怒哀楽の押ボタン

[Y]プロレタリア演劇の「電気人形」
プロレタリア俳優養成所の歴史
丸山定夫の演技術
身体を操縦する「機械学」
千田・村山論争

[Z]「心」の抑圧を解き放て──千田是也『近代俳優術』を読み解く
戦後の俳優養成所の歴史
『「近代」俳優術』についての先行研究
『俳優修業』と『近代俳優術』の構成
『俳優修業』の演技術
『近代俳優術』と『俳優修業』の比較考察
演技と唯物論心理学

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【著者紹介】
笹山敬輔(ささやま けいすけ)
昭和54年(1979)富山県生まれ
筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科文芸・言語専攻修了
博士(文学)
専門は日本近代演劇