歴史・文化史・民俗学
沖縄シャーマニズムの近代  聖なる狂気のゆくえ
沖縄シャーマニズムの近代

本体5800円(+税)
塩月亮子[著]
A5判/464頁

35978-4-86405-033-3
C1039
2012.03

文化人類学・民俗学


滅びつつあると考えられてきたシャーマニズムが、世界各地で復活しているのはなぜか。近年その存在感を増している沖縄の民間巫者・ユタを通し、シャーマニズム復興の現在を描くエスノグラフィー。

【目次】
[T シャーマニズム研究史]
第1章 従来のシャーマニズム研究
第2章 最近のシャーマニズム研究
第3章 沖縄のシャーマニズム研究

[U 沖縄シャーマニズムの社会史]
第4章 ユタの弾圧史──ジュリとの比較から
第5章 カミダーリに対する社会的評価の変遷
第6章 カウンセラーによるユタの肯定的評価
第7章 文化表象としての沖縄シャーマニズム
第8章 再魔術化する社会と沖縄シャーマニズム文学
第9章 聖なる狂気へのまなざし──玉木一兵試論

[V 村落共同体のなかの沖縄シャーマニズム]
第10章 調査地概況──沖縄県国頭郡本部町字備瀬
第11章 女性の両義性
第12章 ユタの活動
第13章 ユタと災因論の変化
第14章 神人のユタ化
第15章 仏教の浸透とユタの対応
第16章 死生観の変化とユタ

[W 沖縄シャーマニズムの新たな諸相]
第17章 脱魂体験にみるユタの世界観
第18章 精神医療の普及とユタの対応
第19章 ユタの世界観の拡大
第20章 ユタによる沖縄アイデンティティの創出
第21章 カミダーリ・ネットワークの出現
第22章 ネオ・シャーマニズムとの比較
第23章 社会病理と沖縄シャーマニズム
第24章 観光と沖縄シャーマニズム

本書をamazonで購入

【著者紹介】
塩月亮子(しおつき りょうこ)
1965年 東京都生まれ
2010年 跡見学園女子大学マネジメント学部教授
専攻は文化人類学、民俗学。共編著に『沖縄民俗辞典』(吉川弘文館、2008年)、論文に「沖縄表象としてのスピリチュアリティ」(『戦後沖縄文学と沖縄表象』沖縄文学研究会報告書、2011年)、「聖地の世界遺産化と沖縄シャーマニズム──民俗知活用の観点から」(『シャーマニズムの諸相』アジア遊学141、勉誠出版、2011年)などがある。また、ビデオ教材(共作)に『意識変容の人類学──シャーマニズムの伝統と近代』(新宿スタジオ、1999年)などがある。

[主な書評]
手堅いムラ調査、多数のユタへのインタビュー、沖縄文学に現れたユタ、シャーマン的宗教への聞き取り資料は学術的価値も高く、本書は手元に置く価値がある。
(『図書新聞』2012/7/7、北海道大学教授・櫻井義秀)