日本文学[中古]
〈紫式部〉と王朝文芸の表現史
〈紫式部〉と王朝文芸の表現史

高橋亨[編]
A5判/504頁
本体11000円(+税)
ISBN978-4-86405-031-9
C1095
2012.02

日本文学[中古]


物語史・和歌史・漢詩文や仏典、歴史や文化史、またそれに関わる他の作家など、〈紫式部〉の作品テクストに関わる成立と享受の文化史を総括し、『源氏物語』をはじめ『紫式部日記』『紫式部集』を含めたテクスト引用関連を中心に〈紫式部〉の文芸を再検討する。

【目次】
[T 〈紫式部〉をめぐる問題系]〈紫式部〉論への視座──身と心の文芸=高橋亨
〈紫式部〉と道長周辺文化圏=辻和良
「かきまぜ」る〈紫式部〉──(パラ)テクストの多孔性と潜勢力=安藤徹
「いまめきたる言の葉」──紫式部の〈春〉の歌語=乾澄子
『平家物語』を読む〈紫式部〉、あるいは混線するテクストたち──インターテクスチュアリティの中世=高木信
日記文芸史の内なる〈紫式部〉──『紫式部日記』以前=久保朝孝
「空に目つきたるやうにおぼえしを」論──菅原道真「清風戒寒賦」を手掛かりにして=佐藤信一
〈紫式部〉と『日本紀』──呼び起こされる歴史意識=浅尾広良
〈紫式部〉と音楽──薄雲巻から見た明石の君の〈琴〉をめぐる論理=松浦あゆみ
〈紫式部〉と美術──「絵合」における〈絵〉の文脈と解釈=川名淳子
〈紫式部〉と建築・作庭──六条院造営と六条院行幸の表現=倉田実
話型としての『紫式部集』=廣田收
紫式部と源氏文化──若紫巻の「雀」を読む=吉海直人

[U 〈紫式部〉とテクストの引用関連]引歌としての兼輔歌=飯塚ひろみ
〈紫式部〉と貫之──『源氏物語』における引歌表現=久富木原玲
〈紫式部〉の中の〈伊勢〉=贄裕子
藤原為時の漢詩文と『源氏物語』=内藤英子
〈清少納言〉と〈紫式部〉──樋口一葉『さをのしづく』清紫論を起点として=東望歩
和泉式部と赤染衛門──代作歌の比較から=山下太郎
〈紫式部〉と『竹取物語』=土居奈生子
終焉の物語──『伊勢物語』『大和物語』と『源氏物語』=本田恵美
夕顔─玉鬘物語の生成──『うつほ物語』の母子流離から=本宮洋幸
「語られる」『住吉物語』と「語られない」『落窪物語』=畑恵里子
『栄花物語』『大鏡』における〈源氏〉の位相──『源氏物語』と創造された「歴史」=高橋麻織
藤原鋳ハもしくは『更級日記』の時代に於ける『源氏物語』享受=野村倫子
紫式部の「とりかへすものにもがなや」──「中世王朝物語」への影響=塩田公子
能と『源氏物語』・〈紫式部〉=亀田夕佳
狂言綺語へのあらがい──『更級日記』から『源氏一品経表白』をへて『無名草子』へ=深沢徹
『源氏物語』注釈史の内なる〈紫式部〉──『紫文要領』に至る伝説受容史と、宣長「敷島歌」に見る『源氏物語』引用=星山健

[V 〈紫式部〉研究史・〈紫式部〉表現史関連研究文献目録]〈紫式部〉への史的展開=外山敦子
〈紫式部〉表現史関連研究文献目録=玉田沙織・服部友香[編]

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【編者紹介】
高橋 亨(たかはし とおる)
名古屋大学大学院文学研究科教授 専攻=平安朝文学
『源氏物語の詩学』(名古屋大学出版会、2007年)、『源氏物語の対位法』(東京大学出版会、1982年)