日本文学[近代]
志賀直哉の〈家庭〉  女中・不良・主婦
志賀直哉の〈家庭〉

古川裕佳[著]
四六判/328頁
本体3200円(+税)
ISBN978-4-86405-019-7
C1095
2011.02

日本文学[近代]


物語を刺激する女中たち
志賀直哉の小説には、なぜ女中や不良が描かれるのか。女中や不良は、家庭という平凡な小説の舞台を、その境界領域から攪乱し、サスペンスに満ちたものに変えてしまう。同時代評や初出誌の広告なども参照しながら、志賀直哉の中期作品を丹念に読み直す。

【目次】
中期作品の課題
家族という拘束、家庭という広がり──「大津順吉」から中期作品へ
女中は軍人と結婚すべきか──「佐々木の場合」
時任謙作とその時代──連載小説としての「暗夜行路」
「種々の異性」を求めての「暗夜行路」──『改造』連載中の新聞広告を手がかりに
文壇小説としての「邦子」──妻の死を収奪する「私」
見出された「心境小説」──「焚火」
見せ消ちの〈色〉と〈欲〉──「菰野」
女中という装置──志賀直哉「大津順吉」・里見ク「君と私と」・佐藤春夫「或る男の話
」 「変態」としての「不良」──谷崎潤一郎「肉塊」・里見ク「多情仏心」
ラヴレター、取扱注意──「暗夜行路」の軟派不良
研究主題・研究方針・研究展望

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【著者紹介】
古川裕佳(ふるかわ ゆか)
都留文科大学国文学科准教授。日本近代文学専攻。
「花子をモノにするのは誰?──森鴎外/オーギュスト・ロダン/志賀直哉」(酒井敏・原國人編『鴎外論集 彼より始まる』新典社、2004年)、「介護と〈反介護〉の風景──されたくない「私」からの解放を求めて」(米村みゆき・佐々木亜紀子編『〈介護小説〉の風景──高齢社会と文学』森話社、2008年)など。