日本文学[中世・近世]
遊楽と信仰の文化学
遊楽と信仰の文化学

堤邦彦・徳田和夫[編]
A5判/456頁
本体6800円(+税)
ISBN978-4-86405-016-6
C1095
2010.11

中世文学・近世文学・民俗学


前著『寺社縁起の文化学』で提起した「縁起学」の視点を引き継ぎ、聖と俗が渾然一体となった縁起の様相をより広汎にさぐる。
開帳・巡拝・参詣などの場における略縁起のありようを考察し、絵巻や曼荼羅などの図像、のぞきからくりや浄瑠璃などの芸能に潜む「縁起的なるもの」を見定める。

【目次】
[総論]縁起学への招待=橋本章彦

[T 略縁起のかたち]

一枚刷り略縁起の形成=久野俊彦
略縁起の二形態=石川透
略縁起の書記形態──写本と版本の往還=藤巻和宏
略縁起と掛軸=和田恭幸

[U 開帳・巡拝・参詣と略縁起]
創生される「名木」──「鶯宿梅」伝承の中世的変容=雨野弥生
大津絵考──戯画から護符まで=鈴木堅弘
名所と信仰・遊楽──親鸞二十四輩を巡る旅=渡辺信和
近代の開帳法会の成立とその展開──城端別院善徳寺を事例として=本林靖久
はじめに歌枕あり──八橋売茶方厳の三河八橋再興=末松憲子
越中立山温泉と略縁起──温泉の整備・経営と女人禁制をめぐって=加藤基樹
通称寺と縁起──実方説話から更雀寺縁起へ=鬼頭尚義
開帳記録と縁起──近世大坂催物一覧稿=菊池政和
[コラム]かくれキリシタンにおける聖地の縁起=中園成生
[コラム]開帳法会の現在──城端別院善徳寺の虫干法会=阿部泰郎

[V 図像・彫像と縁起]
『道成寺縁起絵巻』の再生──寺社縁起の在地化=徳田和夫
勧化本と絵解き──幡随意上人伝の図像化をめぐって=堤邦彦
『伊勢参宮名所図会』の編纂姿勢──銭掛松の記述をめぐって=義田孝裕
「熊野観心十界曼荼羅」の縁起的側面──「観心十方界図」との関わりから=小栗栖健治
在地伝承における縁起性について──由来語りの変相図=埴岡真弓
[コラム]縁起や伝承を描くということ=堂野能伸
[コラム]呑龍上人絵伝と縁起=粂原恒久

[W 縁起としての芸能]
のぞきからくり=根井浄
祭文──男女和合呪術を中心に=花部英雄
縁起から浄瑠璃へ──善光寺もの浄瑠璃の系譜=佐谷眞木人
真宗の立体紙芝居「親鸞さま」=菊池政和
[コラム]ヒーローとしての一休さん=西山美香
[コラム]説話世界の縁起=廣田收
[コラム]直談と縁起──堕地獄・蘇生の物語=恋田知子


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【編者紹介】
堤邦彦(つつみ くにひこ)
1953年生。京都精華大学人文学部教授。近世国文学、説話研究。
『女人蛇体──偏愛の江戸怪談史』(角川書店、2006年)、『江戸の高僧伝説』(三弥井書店、2008年)

徳田和夫(とくだ かずお)
1948年生。学習院女子大学教授。中世日本文学、お伽草子絵巻、民間説話学、比較文化論。
『寺社縁起の文化学』(共編著、森話社、2005年)、『お伽草子 百花繚乱』(編著、笠間書院、2008年)