日本文学[近世]
江戸の「知」  近世注釈の世界
江戸の「知」

鈴木健一[編]
A5判/352頁
本体6600円(+税)
ISBN978-4-86405-015-9
C1095
2010.010

日本文学[近世]


過去の作品に描かれたことば・心情・生活様式などを理解し、人間や社会の意味を求めようと模索する江戸時代の「知」の特徴とはどのようなものか。古代から中世に至る「古典」に向き合った、近世のさまざまな注釈の営みを読み解く。

【目次】
『江戸の「知」──近世注釈の世界』に向けて=鈴木健一

[T 上代──理想郷への憧憬]
「近世神話」からみた『古事記伝』注釈の方法──問題提起的に=山下久夫
構造化される神話──本居宣長における黄泉の位置づけをめぐって=金沢英之
近世の風土記注釈──唐橋世済の豊後国風土記注釈=兼岡理恵
歌聖・柿本人麻呂の変貌──近世国学における注釈の問題=城ア陽子

[U 中古──みやびの希求]
古典注釈の変容と展開──『女郎花物語』をめぐって=西田正宏
堂上の諸抄集成──京都大学附属図書館蔵中院文庫本『古今和歌集注』の紹介を兼ねて=海野圭介
『土佐日記』主題論の展開──『土佐日記解』秋成序文の受容=田中康二
『伊勢物語』二十四段の「かこと」の解釈をめぐって=鈴木健一
『伊勢物語集注』の注釈態度について──好色批判の観点から=瀬尾博之
『続落久保物語』考──五井蘭洲の物語注釈と物語創作=天野聡一
夕霧雲居雁初夜場面における贈答歌について──注釈史から浮き彫りになるもの=杉田昌彦

[V 中世──思想の探求]
気韻の和歌──新古今注『尾張廼家苞』の要諦=寺島恒世
『百人一首』注釈史の江戸──「逢坂山のさねかづら」歌をめぐって=田代一葉
中世擬古物語『夢の通ひ路物語』蓬左文庫本頭注の方法=中島正二
『徒然草』から江戸文学へ──注釈書を手がかりに=川平敏文
近世高僧伝の虚と実──道元伝記の変容を中心に=堤 邦彦

[付録]
作品別・江戸時代主要注釈書一覧=杉田昌彦・鈴木健一・田中康二・西田正宏・山下久夫 編

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【編者紹介】
鈴木健一(すずき けんいち)
学習院大学文学部教授。専攻=江戸時代の文学。
『伊勢物語の江戸』(森話社、2001年)、『江戸詩歌史の構想』(岩波書店、2004年)